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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十三話 別の楽しみ方その七

「実に」
「うん、幾らいいものを食べられても」
 何かハプスブルク家は伝統的に食生活は質素だったらしいけれど。神聖ローマ皇帝でスペイン王にもなったカール五世も蛙の足やアンチョビや鰻のパイ、ビールが好きだったらしい。
「パスタは食べられなかっただろうしね」
「ピザもよね」
「多分ね」
「生春巻きとかビーフンもないわよね」
 ダオさんはベトナム料理の代表格を出してきた。
「やっぱり」
「あると思う?」
「いや、ないわよね」
 ダオさんもそこはわかっていて返す。
「当然」
「当時ベトナム料理は欧州では知られてないから」
「やっぱり」
「そう、しかも宮廷料理でもないでしょ」
「そうよね、どっちも」
 その生春巻きもビーフンもだ。
「庶民のお料理よ」
「それじゃあね」
「ある筈もないわね」
「うん、残念だけれど」
「パスタもそうしたのも食べられないって」
 それこそとだ、ダオさんはかなり残念そうに言った。
「いる意味ないわね」
「そこまでかな」
「ダオにしてみればそうよ」 
 変わることはないという言葉だった、こうした言葉を出した時のダオさんはそれこそ梃子でも動かなくなる。
「そんなの何だってのよ」
「そうしたことになるんだ」
「そう、もうね」
「じゃあダオさん宮廷とかは」
「ハプスブルク家の」
「そういうのは無理かな」
「自分でも思うわ」
 それこそとだ、ダオさんは僕に返した。イルミネーションはまだ輝いていなくて次第に夜になろうとするハウステンボスの中で。
「それは」
「やっぱりそうなんだ」
「私もそうしたもの、特に」
 小夜子さんも言って来た、この人が言うには。
「お好み焼きがありませんと」
「広島のだよね」
「あと新鮮な海の幸に精進料理も」 
 こうしたものが小夜子さんの好物だ、広島生まれだけあってお好み焼きは広島派だけれど大阪のものも好きだったりする。
「ないとです」
「駄目だよね」
「私も」
「じゃあ小夜子さんも」
「宮廷は無理です、河豚も食べられないですね」
「日本の皇室だと」 
 この方々のことが思い出された、何でも宮内庁の予算は千億もないらしい。何でも何処かの国の将軍様の贅沢費より下とのことだ。
「絶対に」
「食べられないですね」
「毒があるから」
 本当にこれが理由でご法度とのことだ。 
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