夢幻水滸伝
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第十話 関ヶ原の夜戦その九
「戦場におるんやさかいな」
「そやったらどんどんや」
「使える暇があったら使っていくんや」
「そして勝つで」
「敵に出来るだけダメージ与えてくで」
「そうしていかなな」
綾乃は大蛇の八つの頭での助言を受けつつそうしてだった、的確な采配を執りそうして攻めていた。それは東海の軍勢と確実に追い詰めていた。
雅は夜空に浮かぶ大蛇を見上げてだ、忌々しげにこう言った。
「あの人もいますからね」
「ああ、簡単な戦じゃないな」
「わかっていたので仕掛けましたが」
隣にいる滝沢に答えた、二人共既に馬に乗っている。
「逆手に取られた感じですね」
「相手の軍師にか」
「はい、芥川さんに」
その彼にというのだ。
「やられましたね」
「四智星の一人だけではないか」
「無念です」
「無念って言葉はまだ早い」
滝沢は苦い顔で手綱を強く握り締めて呻く様に言った雅に正面を向いたまま言った。
「その言葉は勝ってか言う言葉だ」
「勝った反省で」
「そうだ、今はこれからどうするかだな」
「はい、確かに」
「では攻めるか」
「わかりました、それでは」
「山で敵の勢いを止めるにはだな」
「敵の後方を叩くべきです」
雅はこの状況でも戦局を冷静に見ていた、それでこう言ったのだ。
「麓の」
「行くか」
「そうしましょう」
「僕はこのまま切り込む」
「では私は采配を、いえ」
「わかるな」
「はい、神星はもう一人おられます」
雅はこのことも頭に入れていた、伊達に一つの勢力の軍師を務めている訳ではなくこうしたことも的確にわかっていた。
「その芥川さんが」
「出て来るな」
「私達を止めに」
「あの人は戦っても強いな」
「六将星の方程ではないにしても」
それでもというのだ。
「少しだけ劣る程度の強さです」
「二人でいかないと止められないな」
「おそらく」
「ではな」
「はい、二人で行きましょう」
おそらく前に現れるであろう芥川にはとだ、雅は滝沢と話して顔を見合わせ頷き合ってそのうえでだった。
騎馬隊を進ませた、そうして麓にいる敵の後方を攻めようとしたが。
ここでだ、その彼等にだった。まずは鉄砲が来たが雅は素早く自分達の軍勢の前に障壁の術を出して防いだ。それで敵の最初の一撃を防ぎ。
滝沢と共に突っ込む、だがその前にやはりあの男がいた。
芥川は狐に乗ってだ、二人に悠然とした笑みを浮かべて言った。
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