夢幻水滸伝
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第十話 関ヶ原の夜戦その七
「そしてぎゃ」
「滝沢君の方にはですね」
「雅ちゃんが行くぎゃ、馬にも乗るだぎゃ」
雅に乗馬する様にも言ったのだった。
「そうして滝沢と一緒に戦うだがや」
「わかりました、すぐに滝沢君のところに向かいます」
「そうするだがや」
こうしてだ、彼等はすぐにそれぞれの動くべき場所に向かった。そうして何とか今の状況を打開せんとした。
中里は東海の軍勢を薙ぎ倒し続けている、そのうえで軍勢を率いていた。
「ええか、敵は動けなくするんや!」
「倒すよりもですね」
「その方がええですね」
「そや、下手に倒すより動けなくしてや」
止めを刺してそれに手間暇をかけるよりもというのだ。
「敵をどんどん攻めるんや、下手に突出せんでな」
「陣形も守り」
「そのうえで」
「その通りや、下手に前に出るな」
言いつつだ、中里は自ら両手の神具達をそれぞれ振るい凄まじい大きさと威力の雷や鎌ィ足で敵を倒している、敵兵達は何十人単位で倒されている。
「陣形を守ったまま責め崩していくんや」
「わかりました」
「ほなそうしていきます」
「敵は多いですが」
「そうしていきますわ」
「そうせい」
まさにというのだ。
「ここはな」
「そうします」
「ほなこのまま攻めます」
「敵を動けなくしていきます」
「下手に倒すより」
「そうするんや、それで敵を山の頂上まで追いやったらや」
そこからもだ、中里は言った。
「追い落とすで」
「山からですね」
「そうしますね」
「そうする、ええな」
指示を出して兵達を動かしていた、自ら戦っているが軍勢は細かいところまで見て統率を乱すことはなかった。
戦は完全に関西の流れだった、だが。
その中里の前に二人の男が現れた、彼等はそれぞれ馬に乗っていた。
「二本の刀に鵺、中里だぎゃ」
「そう言うあんたは誰や」
「この東海の棟梁坂口雄大だぎゃ」
「その臣正宗大二郎です」
ムークの僧兵も名乗った。
「以後お見知りおきを」
「わかったわ、それで何の用や」
「それはもう言うまでもないやろ」
坂口は蜻蛉切を右手に持ちつつ中里に返した。
「そやろ」
「僕と戦うっちゅうんやな」
「そや、これ以上好きにはさせん」
坂口は中里を見据えて告げた。
「ええな」
「わかった、ほなな」
「拙僧もです」
正宗も馬を前に出した。
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