レーヴァティン
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第十話 巨人その六
「この世界でそうだとな」
「俺達はとてもだ」
「ここまできてないな」
「最初にあの追い剥ぎ達に殺されていた」
「蘇ることが出来てもな」
「暫くはあの場所でのざらしだった」
「屍を野犬だのに喰われてしゃれこうべだったな」
その状態で、というのだ。
「蘇るまでは」
「そうなっていた」
「いいものじゃないな」
「俺達の世界ならそのまま死ぬしだ」
「国なら滅びるな」
「話せばわかる相手ばかりとは限らない」
現実としてはというのだ。
「そんな相手には剣を向けるしかない」
「だから武力が必要だな」
「そういうことだ」
「だよな、その武力の象徴が権威になるか」
「刀剣がな」
「よくわかったぜ、それじゃあな」
ここまで聞いてだ、久志は自分の腰にあるレーヴァティンを見てまた英雄に言った。
「この剣その意味でも使うぜ」
「俺もそうする」
「じゃあ行くか」
「サラミスまでな」
その港町までにとだ、こう話してだった。
彼等は港町サラミスに向かっていた、サラミスまでは遠かったが彼等は馬で順調に進んでいた、しかし。
その途中でだ、遂にだった。
全長にして三十メートルはある巨大なほぼ全裸の男達を前に見た、英雄はその彼等を見て一言で言った。
「出たな」
「ああ、巨人だな」
「あの連中こそな」
「本当に出て来たな」
その巨人達を見てだ、久志は言った。
「俺達の前に」
「この連中が世界を脅かしている」
「急に出て来てだよな」
「こんな連中が急に出て来て急に消える」
英雄は自分達に向かって来る巨人達を見つつ久志に語った。
「おかしな話だな」
「それはな」
「有り得ない話だ」
「こんな馬鹿でかい連中がな」
「やはり何かあるな」
「こいつ等の後ろには魔神がいるか」
「そう思っていい」
実際にというのだ。
「俺もそう思っている」
「やっぱりそうか」
「しかし今は確かな証拠はない」
巨人達と魔神のその関連性はというのだ。
「一切な」
「そうだよな、神殿でもわからなかったな」
デルフォイのそこでもというのだ。
「残念ながらな」
「そうだな、しかしな」
「今俺達がやることはだ」
「この連中を倒すことだな」
「俺達の方に来ている」
視線も彼等にあった、襲い掛かろうとしてきているのは明らかだ。
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