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おぢばにおかえり

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第四十話 神戸に帰ってその八

「カルシウムと蛋白質の塊だから」
「そうなのね」
「そう、だからそのまま飲んでいったらいいわ」
 それ自体はというのです。
「健康の為にも飲みなさいね」
「それじゃあ」
「あとあんた達三人共お母さん似だから」
 こうも言ってきました。
「お母さんの家系のね」
「ってことは」
「私達このままずっと背が伸びないの」
「小柄なままなの」
「お母さんの家系の女の人は皆小さいでしょ」
 否定出来ない事実です。
「だからよ」
「背は伸びないのね」
「どうしてもね」
 とてもはっきりした返事でした。
「諦めなさい」
「やれやれね」
「やれやれでもよ」
 例えそう思っていてもというのです。
「遺伝は強いから」
「最近後輩の子が頭一つ大きくて」
 阿波野君のことです、言うまでもなく。
「小さい小さいって言われてるけれど」
「失礼な人ね」
「そうよね」
 妹達もこう言います。
「小さいのは仕方ないじゃない」
「人の外見のことを言ったらよくないわ」
「それを言うなんて」
「かなり失礼な人ね」
「私もそう思うわ」 
 本当に心から思います、阿波野君ときたら。
「自分が背が高いからってね」
「天理高校の人よね」
 上の妹が聞いてきました。
「そうよね」
「ええ、そうよ。後輩の子でね」
「一年生?」
「そうよ」
「一年生でそんなこと言うの」
「そうなの、馴れ馴れしいし」
 あの馴れ馴れしさも天下一品です、考えれば考える程失礼な子です。 
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