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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十二話 一族の争いその八

「実際は、です」
「むしろ兵隊さんになる方が難しかったですね」
「採用基準が厳しかったので」
 身体測定で甲乙丙丁で甲でしかも品行方正な人でないと合格とならなかった、こんなに厳しい採用基準だった。
「滅多にです」
「そうでしたね」
「なれないものでした」
「そうでしたね」
「このことはあまり知られていないですね」
 今の日本ではだ。
「どうにも」
「そうですね、どうにも」
「何か作家さんの経歴を見ていたら」
 戦争前のだ、太宰治もそこに入る。
「兵隊さんになった作家さん物凄く少ないですね」
「志賀直哉位でしょうか」
「夢野久作は少尉でしたけれど」
 この人の経歴は父親の代からやけにややこしい、この父親がまた実に破天荒な人だったと聞いている。
「それこそクラスに一人か二人が兵隊さんになれる位でしたし」
「殆どいないですね」
「志賀直哉はなってましたけれど」
「その志賀直哉もです」
 兵隊さんになれたことはなれたがだ。
「すぐに除隊させられています」
「そうですよね」
「耳が悪いとの理由で」
 随分と軍服姿で誇らしげな写真を残しているけれどだ。
「すぐにでした」
「本当になりにくかったんですね」
「そうでした」
「それが現実ですね」
 日本の徴兵制のだ。
「それこそなる方が難しい」
「そこを誤解されている方も多いですね」
「徴兵制イコール国民皆兵かといいますと」
「全く違いまして」
「そこが何故か」
「間違えておられる方も多いです」
「教え子を戦場に送るなとか」
 こうした言葉は僕も聞いたことがある、何かそうしたことを言う先生に限って変な先生だったりするから不思議だ。
「言いますけれど」
「それもです」
「違っていて」
「何か軍隊について誤解もあって」
「八条グループは昔から軍隊と関係が深いです」
 軍に服や靴を入れたりもしていたし兵器も製造していた。
「今もそうですが」
「自衛隊にですね」
「それで死の商人とも言われましたが」
「自衛隊の兵器も造ってますからね」
「主な兵器ではないですが」
 だがそれでもだった。
「兵器を製造していることは事実ですね」
「そしてそれがです」
「批判の的にもなってますか」
「そうしたことを言ってくる人達もいます」
「そしてそうした人達は」
 僕が見てきた限りではだ。
「決定的におかしいんですよね」
「そうですね」
「自衛隊は嫌いなのに」
 それこそ今だに非武装中立とか言っている、そうした人が実際にまだいるのが世の中の凄いところだろうか。 
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