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グランドソード~巨剣使いの青年~

作者:清弥
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第1章
4節―茨の旅の決意―
  初めての依頼

 あの後、ルグドに3日はかかると言われてソウヤたちは宿に帰ると、それぞれ個別の部屋に入る。
 ソウヤは部屋に入った途端、ステータスを表示させた。

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ソウヤ 17歳 種族…ヒューマン

ランク…C 次ランクまで…30依頼
装備品…鋼の剣 血黒の服 魔夜の靴
二つ名…『均等破壊《バランスブレイカー》』
    『幻想騎士《ファンタジアナイト》』
称号…瞬死の森の主を倒した者 全ステータス×2
   亡霊を扱い解放した者 亡霊解放によって上がるステータス×2
   魔族に恐れられし者 魔に対してステータス×3
特殊能力…黄の紋章 HP残り半分になると全ステータス×5
     雷《ライズン》魔法 業火《マーガレッド》魔法 青火《ブルスイア》魔法 特殊能力記憶《エクストラスキルコピー》 月文字《ルーン》魔法
メインスキル…戦士 達人級(310/500)
 (剣術の階級を1つ上げる、剣所持時全ステータス×2.5倍)
サブスキル…肉体強化 達人級(2000/6000) 体術 達人級(4500/5000)
      剣術 達神級(1000/2000) 初級魔法 王神級(MAX)
      常時HP回復 達人級(1500/5000) 下段鋼魔法 上級(200/1500) 
      空間魔法 中級(100/3000) 下段火魔法 中級(MAX) 
      下段水魔法 中級(MAX) 下段木魔法 中級(MAX) 
      下段風魔法 中級(MAX) 下段地魔法 中級(MAX)
      危険察知 達神級(700/2000) 異常状態無効 上級(500/900)
残りスキル…巨剣使い 達人級(5000/7000) 魔法使い 上級(20/1500) 
      月文字騎士《ルーンナイト》 下級(0/2000)
HP37500 MP27000 攻撃力15000 防御力12000 素早さ27000 魔法力12000 腕力750
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 新しい項目が増えているな…とソウヤは思って、その項目をジッと見つめる。

「ランクが表示されてて、次のランクまでの依頼の数が書かれているのか」

 「便利な機能だな…」とソウヤは呟いて、ベットに座って横になる。
 そして、ソウヤは段々と視界が暗くなっていくのを感じて、そして視界が真っ暗になった。




「さてと、今日から依頼を始めるかな…」
「そうですね」

 次の日の朝、ソウヤたちはギルドで初めて依頼をすることに決定した。
 そうして2人がギルドに着くと、一気に空気が酒臭くなって冒険者たちの騒ぎが鼓膜を休むことなく震えさせる。
 それに思わず耳と鼻を防ぎたくなったソウヤたちは急いで依頼の掲示板らしきものに行った。
 その掲示板の依頼を1つ1つじっくりとソウヤはそれを見ていく。

「Cだと…ゴブリンを10体討伐、採取部類は耳…お金が100Rか…やっすいものだな。次は…ウルードベアを1体討伐、採取部類は牙でお金が150R…これにするか」

 ソウヤはウルードベアの依頼書を取ると、ルリとともに受付嬢のもとへ向かった。

「すみません、この依頼したいんですけど…」
「分かりました。そこの方はパーティーに入る予定ですか?」
「あ…はい」

 そうだった…とソウヤは思い出す。
 この世界のパーティは自己で出来るものではなく、ギルドで申込んで手続きをしてやっとパーティーに入れるというものだった。
 受付嬢がなにかしらの紙をもって来て、ペンをソウヤに渡す。

「これにパーティー名、パーティーメンバー、2人の職業を書いてください」

 ソウヤはわかりましたと告げて、ペンを紙につけようとする…が、ルリにソウヤは顔を向けて言葉を発する。

「ルリはどんな名前が良い?」
「えっと…なんでも…」

 「了解」とソウヤは言葉を返すと、また紙に顔を向けてペンを近づける。
 そして、スラスラと名前を書いていく…そのパーティーの名前は、『ラーズト・セズラクト(終焉の無い者)』にすることにした。
 決して厨二病ではない…とソウヤは心の中で言葉を発しながらかいた名前だった。
 その次にソウヤはパーティーメンバーの名前を書いていく。
 最後に職をソウヤは自分を戦士にして、ルリを書こうとしたが、どんな職か分からなかったので、ルリにソウヤは問う。

「ルリって職はなんなの?」
「えっと、神い…ではなくて、戦士です」

 「了解…」とソウヤは呟いて戦士と書いてソウヤは受付嬢に提出した。
 しかし、ソウヤは心の中でルリのさきほど言いかけた言葉が気になっている。

 ―聖け…ってもしかして”聖剣”のことか?でも聖剣って剣だから人間ではないし、しかも本来なら聖剣を扱えるのはゲームではNPCって言ってたような…。

 ソウヤはそう考えてルリをチラリとみて、しっかりと狼の耳と狼の尻尾があることを確認して再度考え始める。

 ―しかも聖剣を扱えるのは”妖精”ではなく、”人間”だということも聞いている。俺の場合も背中から羽が生えているからもう”人間”ではなくて、”妖精”だし…ん~わかんないな。

 ソウヤが心の中で頭を悩ませていると、受付嬢が帰ってきて「ギルド板を出してください」と言葉を発したのに気が付いて、その思考を止める。
 ソウヤとルリはそれぞれにギルド板をだして、受付嬢がそれに手を添えると一気にギルド板から少し眩しいぐらいの光が溢れだす。
 その光が収まったら、受付嬢は手を放して「終了です」と言った。

「『ラーズト・セズラクト』でこの依頼をしますか?」
「はい」

 受付嬢がそう問いかけてくるので、ソウヤは間髪をいれずに即座に頷いて答えた。
 そうしたら、受付嬢が「わかりました」と言ってからその依頼書を持って奥の部屋に引っ込んでいき、すぐさま帰ってくる。

「お気御付け下さい」
「ああ」

 ソウヤは受付嬢の言葉にうなずくと、ルリと共に外に出て門に向かって歩き始めた。




 ウルードベアはこの街を北門から出てそのまま西に歩くとある森の中に住んでいて、そのウルードベアは狂暴でよく人を襲う。
 その森までの時間は1時間ほどで、そこまでは比較的弱いモンスター、オンラビットという一角ウサギが生きている。
 その道のりをソウヤたちは楽々に進んでいく。
 横から一角ウサギが現れるがソウヤは鋼の剣を振っただけで一撃で沈むほどの弱さを一角ウサギは誇っていた。

「さすがにここら辺は弱すぎるな」
「そうですね…。なんだかある意味疲れます」

 ソウヤはルリの言葉にうなずくことで肯定する。
 もともと、ゲームの頃は一角ウサギは超初心者用のとても弱いモンスターだった。
 だが、その弱さとは違いにMMORPGならぬRを落とす金額も高いし比較的弱いので熟練度もあげやすく、そのおかげで初心者達はしばらくの間お世話になっていたモンスターだ。
 しかし、ソウヤたちは金には困っていないし、ソウヤも熟練度もある程度の―この世界の人たちから見ればチート級の―熟練度も持っているのでただの邪魔にしかならなかった。
 一角ウサギを殺しながら歩いているうちに、森の入口へソウヤたちはたどり着く。

「…なんか、森には嫌な思いでしかないんだけど…」
「どうしてですか?」

 ソウヤはルリの疑問に苦笑いで返す。
 初めの森は『瞬死の森』で、超高レベルな敵たちから逃げ回るというものを強いられ、次の森は本来なら60人強の人数で戦うはずの魔族を1人で倒すことになった。
 そんなトラウマの、不運の巣窟である森に対しては行きたくなくなるのは当然の結果だろう。

「まぁ……とにかく行こうか…」
「はい…?」

 ルリはソウヤの気合の下がり具合に疑問を持っていたが、ソウヤが先に進んでいくのであとを着けていく。
 森の中は良く生い茂っており、澄んだ空気が鼻を通る。
 森全体に木が生い茂っているので太陽光は木々によって遮られて、妙に心地良い感覚にソウヤとルリは捕らわれ、しばらくの間その場で突っ立っていた。
 一通り森の居心地を楽しんだあと、ソウヤとルリは共に歩き出す。
 そのまましばらくソウヤたちは歩いていると、遠くの方から「グルル…」と獣の鳴き声が聞こえ始める。
 その鳴き声はまさに熊と同一で、すぐさまルリとソウヤは鳴き声が聞こえる方に向かい走り出す。

「グルアアアァァ!」

 すると、突然目の前から茶色くてドデカイ物体が飛び出してきてすぐさまソウヤとルリは左右に飛び退く。
 その茶色いその姿はまさにソウヤたちが探し求めていた討伐目標だった。
 その熊―ウルードベア―は身体の中心に紫色に発光している不気味な魔法陣が描かれていて、額に大きな傷跡が残っている。
 ウルードベアの見分けのつき方はその紫色に発光する魔法陣で出来た。
 その魔法陣は『狂化』と呼ばれる魔法がかかっているのだが、この魔法陣は絶対と言えるほど発動はしない。
 それは魔法陣が紫色に発光していると言うことは、それは発動が出来ないということを示しているのだ。
 しかし、たまに『狂化』出来るウルードベアがおり、その魔法陣は赤く発行している。
 その狂化ウルードベアと呼ばれるモンスターはなんとBランクに匹敵する強さを誇っていた。

「ルリ、俺が足止めするから攻撃をして!その後に俺が『スイッチ』を…じゃなくて攻撃を変わるから!」
「はい…!」

 ソウヤは思わずルリに対して『スイッチ』と言う言葉を発してしまうが、慌てて修正する。
 『スイッチ』とは、攻撃役を細かく入れ換えることで敵の意識の外から攻撃するというMMORPGでは良く使われる技量の1つだ。
 細かく攻撃を入れ替える事で相手のヘイト(怒り)を混乱させることが出来る。
 モブ相手だけでなく、ボス攻略にも有用されているこの技量はこの先戦っていくのに必要な技量かもしれない、ルリに『スイッチ』を教えとこう、とソウヤは思う。
 ソウヤはウルードベアに向かって走り出し、今爪を振り下ろそうとするウルードベアの爪に向かって、ソウヤはわざと剣を振り、相手の体制を崩れさせる。

「ぬお…!?」

 その反動でソウヤは体制を崩すが、持ち直すより先にルリがウルードベアを切り裂きダメージを与える。
 その攻撃によって攻撃の的がルリに変化するが、体制を立て直したソウヤの攻撃によってウルードは両手の爪を一気にソウヤに向かい横払いをした。
 ソウヤはバックジャンプをすぐさまするが、思うよりも飛躍力が出ずにこのままだと当たることをソウヤは理解する。
 そこで剣を向かってくる爪に思いっきり当てることで、その反動で無理矢理推進力を引き上げた。
 ウルードベアはそのまま身体を反転させて…のところでその場に膠着して固まる。

「グ…オ………」

 そして、少しの鳴き声を上げたあとに、その場にうつ伏せになり沈んだ。
 その背中にはルリの剣が刺さっておりそれはウルードベアの心臓を深くえぐり込んでいて血飛沫を上げていた。

「ルリ、お前すごいな。気づかなかった」
「いえ、私の取り柄は早さだけですから」

 そう言ってにこやかにルリは笑った。
 ルリの言っていることは大方間違ってはいない、灰色の狼…『混沌狼(ラグスロード・ザズ)』の強さはその目にも見えない俊足の早さだ。
 敵を翻弄して混乱させ、そして的確に敵の心を打つ…それが『混沌狼』の戦い方だった。

「とにかくこいつを持っていくか」

 ソウヤはルリをじっと見つめたあと、そう告げてウルードベアに触れる。
 そして、ソウヤは心の中でと念じるとそのウルードベアは瞬時に消え去り、アイテムストレージの中に収まった。
 それを見ていたルリは言葉を発する。

「やっぱりソウヤさんは異世界人だったんですか」
「信じてたなかったのか?」

 そうソウヤは言って「まぁ仕方ないか…」とつぶやく。
 ルリはソウヤがアイテムストレージを使っているのを見てなぜそう確信できたのには理由があった。
 この世界の住人と元日本に住んでいた世界の人では明らかな違いが大きくて2つある。
 1つ目は必ずなにかしらの特殊能力(エクストラスキル)希少能力(ユニークスキル)を得ている。
 2つ目はステータスやアイテムストレージなどが出来ることにあったのだ。

「…それじゃあいこうか」
「怒らないんですか…?」
「別に怒ることでもない。仕方ないしな」

 そう言ってソウヤは苦笑いを浮かべる。
 そうして、暗い森の中を2人は着実に歩き始めたのだった…。 
 

 
後書き
モブ敵なのに強く感じてしまうのは、ソウヤが『巨剣使い』と『肉体強化』を使わず、かつギリギリまで重量を引き上げたためです。 
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