~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force
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太陽系へ
前書き
毎度更新遅くなりまして申し訳ありません。
さてエレミア同盟遠征艦隊はBETAの根拠地を潰すべく亜空間ゲート内の亀裂に向かいます。
9月1日、エレミア同盟遠征部隊がOS-11に終結した。
一旦、各国遠征艦隊の司令官や部隊長クラスが総旗艦となるオルフェーリアのカンファレンスルーム(会議室)へ集まり、作戦基本方針の確認、指揮序列、各艦隊戦力の総括評価などを行った。
俺も一応艦隊情報部長だし、優奈は総旗艦の艦長と旗艦戦隊司令も兼ねているので、同じく出席している。
「大輔くん、私たちのいた世界じゃないけど、同じ地球に行けるんだよね。」優奈がちょっとだけ嬉しそうにそう言ってきた。
「うん、そうだね。でもこの世界の地球はこっちにも攻めてきたBETAに半分以上占領されていて、このままだとあと数年で滅ぶ計算なんだって。」喜んでいる優奈には悪いと思ったが、一応事実だから伝えておいてあげた方がいいと思った。
「そう・・・なんか複雑だね・・・・日本は残ってるのかな?大陸からは海で隔てられているから大丈夫だよね?」
ああ、そうか優奈は碓氷中尉や遠野中尉達とはあまり会話してないのか・・・。
あれ?そろそろ会議終わりそうだな・・・まぁ決まっている事の再確認だけだし、特に荒れる要素もないし、こんなものか・・・おっと、優奈の質問っと。
「俺の知っている限りではBETAは海を越えるし、一度九州から横浜あたりまでは占領されて、3,600万人くらいが犠牲になったらしい。でもこの間の偵察艦の映像見る限りでは、東京や仙台は破壊されていないように見えたから、まだ大丈夫じゃないかな。」
「そんなに犠牲者が・・・私たちが着くまで何とか保って欲しいけど・・・。」俺もそう思うけど・・・すべてはタイミングだろうな。
でもたぶんその辺は純夏がちゃんと調整してそうだけどね。
そして、そうしているうちに作戦会議は終わってしまった・・・俺たちは何もせず、ほぼ聞いてもいなかったけど、スムーズに終わったな。
さて、各国遠征艦隊の司令官たちが自艦隊へ帰還次第、いよいよOS-11へ突入し例の時空の裂け目へ入って月の軌道上へと向かう事になる。
俺たちが会議室を後にして食堂へ向かおうとした時、「カミナガ中佐!」不意に後ろから声をかけられた。
振り返ると、あれは・・・・たしかデュミナス軍の制服だったかな?女性の軍人が二人ほどの随員を従えてこちらに歩いてくるのが見えた。
随員が二人いるとか結構階級が高めの軍人なんだろうなぁと思っていたら、襟章が目についたんだけど、あれ記憶が確かなら中将・・・・だったっけ?
「呼び止めて済まない、私はデュミナス軍のスカール。一応デュミナス軍の司令をやっています。」
大物だった?!俺たちは慌てて敬礼をし直した。
「貴官は地球星から来たという傭兵の指揮官と聞きましたが、間違いはないですか?」スカールは俺たちに答礼しつつそう訊ねてきた。
「ハッ!そうでありますが、彼らが何か?」う~ん、いったい彼女達に何用なのかが気になる・・・。
「いえ、特に大したことではありません、これから向かう太陽系?でしたか、そこの住人に向こうの話を聞いておこうと思っていましてね。上官である貴官に許可をもらいに来ました。」
なんだ、そういう事だったのか・・・・警戒して損したな。
そういえば、このスカール中将はエレミア戦役でディー司令と共に戦った事があるって言ってたっけ?
「ハッ!そういう事でしたら問題ありません!何でしたら彼らをすぐに呼びましょうか?」
「それは助かります。それでは士官食堂に移動してそこで話を聞かせてもらえますか?」
「了解しました!」そして俺は彼らに連絡を取って士官食堂へ来るように言った。
遠山中尉は地球の、自分たちの故郷の事に興味を持ってくれたと素直に思い快諾だったが、碓氷中尉は、開口一番「何が目的なのでしょう?」ときた。
さすが香月夕呼直属の部隊長、謀略戦をも経験してきたのか、一筋縄ではいかないな。
俺の感想として、彼女には恐らく他意はないであろう事と、過去の戦争でディー提督と共に敵と戦った仲であり、提督も信頼をしている人物である事を伝えると、素直に引き下がったけど。
「そういえばスカール提督はディー司令と共にエレミア戦役で戦った事があるとお聞きしました。」先ほど俺が思った事を優奈が聞いてくれた・・・やっぱり心の中読まれてない??
「そうですね、ディー提督の第86戦隊と私の第7分艦隊とでデトロワ包囲下のデュミナス本星の軌道上、そして大気圏内で連携してデトロワ軍と戦いました。」
そういえばスカール中将って何歳なんだろう?見た感じ俺らとあまり変わらないくらいに見えるけど、エレミア戦役の時に既に准将だったというから・・・少なくとも30代半ば?・・・見えないなぁ。
「ディー提督の指揮は大胆に見えますが、実は細かいところにかなり気を配っておられる。ただ強気で雑で癖の強い私とでも良く統制のとれた連携を組んでいて、とても勉強になりましたよ。」
やだ、なんかこの人からも脳筋臭がする・・・・・後ろの副官らしき人達も苦笑いしてるし・・・。
太陽系のBETAを一掃して帰還するまではずっと一緒だからな・・・・とりあえず愛想笑いしておこう。
そうこうしているうちに士官食堂に着き、スカールと地球人組を引き合わせて1時間ほどのインタビュータイムを終え、スカール達は自艦へ戻っていった。
そして遠征艦隊はアマティス艦隊を先頭に、デトロワ、デュミナス、ラファリエス、オルキスの順にOS-11へ順に進入していく。
やがてオルフェーリアも亜空間へ入り、俺は左舷側の観測ルームからその珍しい光景をずっと見ていた。
チューブのような空間で、中は何とも言えない色彩・・・赤とピンクとオレンジがあわさったような淡い光の壁に包まれて艦が高速で移動するような感覚をおぼえる。
窓外を良く見ると途中、船の残骸だろうデブリが数多く漂っているのが見えた・・・たぶん今回の騒ぎが始まったころから行方不明になっている民間船やパトロール艇の残骸と思われる。
あの様子だと、エレミア星系へ向かうBETAの降着ユニットと衝突したのかも知れないな。
乗っていたであろう乗員や乗客へそっと黙とうを捧げる。
それから10分ほど経った頃、左舷の前方に他とは違い、黒い亀裂が見えてきた。
良く見ると、その亀裂に向かって艦艇が次々と突入しているのが見える。
その時、艦内放送がかかり、艦長(優奈)から、間もなく亜空間の亀裂へ突入する事、そしてその向こうが太陽系と呼ばれるエレミア星系人にとっては未知の星系である為、第三戦闘配置が告げられた。
それにより、索敵範囲の拡張と艦隊随伴機動師団への直掩待機が命じられる。
5分後、艦は黒い亀裂に突入、周囲は真っ暗で艦のシルエットに沿った閃光灯の明かりだけが灯って見える。
10分くらいすると、前方に星空が展開し始め、亀裂を抜けたと確信できた。
そして・・・・・目の前にはあのクレーターでボコボコになった月!その向こうには青く輝く地球!!
はぁ~帰ってきた!という思いがちょっと湧き出てきた。
いつの間にか、地球人組が俺の周りに集まってきていて、地球を見るなり涙する者や満面の笑みを浮かべる者、真剣なまなざしで見つめる者、様々だった。
彼らは俺なんかよりももっと嬉しいだろうな。
ここから見る地球は向こうの世界のTV映像などで見た記憶のある、月から眺める地球の映像とほぼ一緒で、青い海と白い雲、茶色と緑の陸地と鮮やかに見える。
そして竿後に到着したオルキス艦隊を加えて月の軌道上に各国遠征艦隊が整列する。
ここからは見えないが、天頂方向からこちらを見たら、さぞ圧巻なんだろう。
さてここから俺の部隊は忙しくなる。
まずは偵察ドローンの射出と月面に展開している12か所に及ぶBETAハイヴの状況確認から。
それから敵の戦力評価とオリジナルハイヴと推定されるハイヴを特定っと。
月面に展開しているハイヴの明確な情報はゲームでもなかったから、決め手はないけど、実はちょっとだけヒントはあるんだよね。
“サクロボスコ事件”これはマヴラブのプレーヤーなら皆知っていると思うけど、月面で人類がBETAと最初に遭遇したのがサクロボスコクレーターなんだよね。
という事はその周辺にオリジナルハイヴがあるだろうとは簡単に予想がつく事だ。
俺はマヴラブをプレイした時に、サクロボスコっていったいどこら辺なのかを調べていたので、その場所はすぐにわかった。
――――――――かくして、オリジナルハイヴは特定された。
今回の遠征艦隊におけるBETAハイヴ駆除作戦の骨子はあらかた決まっている。
それは資源惑星ラガールで試みられたオリジナルハイヴを潰してからの各個撃破作戦だ。
エレミア星系での駆除作戦全般を比較検討した結果、オリジナルハイヴを潰すと他のハイヴの対応が極端に鈍くなるという結果が出ている。
まぁこれはマヴラブオルタでも言われていた事だが、指揮系統の最上位にあるオリジナルハイヴの重頭脳級を潰して新たな命令を与えないようにすれば他のハイヴは攻撃を受けても単調な迎撃行動しかとれないという性質を利用して戦局を楽に進めるというやり方だ。
ただちに各ハイヴへの攻撃態勢が組まれ、最も重要なオリジナルハイヴを潰す役割は遠征艦隊の中でも一番ハイヴ攻撃の経験があるオルキス軍の第14機動師団に任された。
そして攻撃開始は3時間後と決まった。
後書き
とうとう太陽系へ進出してきたエレミア同盟の遠征艦隊。
がんばって太陽系からBETAを一掃して欲しいものです。
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