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夢幻水滸伝

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第八話 東へその七

「そのつもりや」
「そうか、それで僕等を破ってやな」
「近江に入るつもりらしい、それで伊勢に行ってる連中もわかったけど」
「一万程行ってるらしいな」
「完全な陽動や、一万おるけど」
 それでもというのだ。
「星の奴はおらん」
「そうか、ほな星の奴は全員やな」
「関ヶ原に入る、しかも東海の星の奴がや」
「全員か」
「出陣してるわ」
「留守役も置かんでか」
「連中はそれだけ本気っちゅうことや」
 星の者、つまり力のある者を全員出すまでにというのだ。
「そういうこっちゃ」
「そうか、本気か」
「ああ、それで関ヶ原に入ったらな」
「関ヶ原いうたら」
 綾乃がここで主の座から言ってきた、見れば中里は彼女から見て右、芥川は左にいる。
「うち等は西軍になるな」
「完全にな」
「それで向こうが東軍やな」
「それで、っちゅうねんな」
「あの戦では西軍が負けたから」
「そやな、けれどな」
 当然芥川もこのことは知っていた、あまりにも有名な話だからだ。
「あっちはあっち、こっちはこっちや」
「うち等が負けるか」
「勝つで」 
 あの西軍とは違い、というのだ。
「絶対に」
「そうなるんやな」
「あの関ヶ原は裏切りで負けた」 
 西軍はというのだ、小早川秀秋達の裏切りによって。
「けれど僕等がやる関ヶ原はや」
「裏切らんか」
「そや、綾乃ちゃんに不満があればや」
 芥川の目が鋭くなった、そしてだった。 
 部将達を見回してだ、そのうえで言った。
「何時でも何でも言うてええ、それで罪に問われんしな」
「はい、別にです」
「わし等も姫巫女さん裏切るつもりはないです」
「正直姫巫女さんの政に満足してますし」
「禄もよおさん貰ってます」
 石ではなく銭でだ、この世界では太宰の考えで領地ではなく銭で禄としているのだ。
「ここが一番禄多いですし」
「扱いもええですし」
「裏切る理由はありません」
「というか裏切ったら後が怖いですし」
「裏切りは許す訳にはいかん」
 芥川もそこは強く言った。
「その時は魂まで消させてもらうしかないしな」
「そのこともわかってます」
「絶対にしませんから」
「若し裏切ったらです」
「その時は遠慮なくして下さい」
「そうするで、ほんま。とにかく裏切りは許さんしさせへん」
 芥川はまた言った。 
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