レーヴァティン
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第七話 炎の剣と氷の刃その九
「この島の中央にあり多くの神々が祀られている巨大な神殿だからだ」
「学問のある神官さんも本も揃ってるだろ」
「まずはここで世界のことを知りたい」
「そのうえでどうするか決めたいんだよ」
「そう考えているのか」
「それで暫くここにいたいけれどな」
久志は白い法衣の神官に問うた。
「駄目か」
「俺もそうしたいが」
英雄がまた言った。
「それはどうなのだ」
「いい考えだ」
神官は二人にこう答えた。
「それはな」
「ああ、そう言ってくれるか」
「そなた達がそうしたいならそうすればいい、むしろだ」
「むしろ?」
「遠慮なく学んでもらいたい」
神官は二人にこうまで言った。
「この世界のことを隅から隅までな」
「そうさせてもらっていいんだな」
「私も知っていることなら何でも話そう」
謹厳なその顔を笑みにさせてだ、神官は久志に答えた。
「私もな」
「ああ、じゃあ頼むぜ」
「そしてこの世界を救って欲しい」
「それじゃあな」
「まずは学ばせてもらおう」
英雄の言葉だ。
「是非な」
「好きなだけそうするといい」
神官達は二人に言った、既にそれぞれの刀剣を持っている二人に対して。ここに二人は旅の最初の目的を果たした。
だがここでだ、視界は急に暗くなり。
二人はそれぞれ目覚めた、その目覚めた先にあったのは。
久志は登校してすぐにだ、英雄を呼び出して彼と講義前にキャンバスのベンチに座ってそのうえで話をした。
「御前もなんだな」
「この通りだ」
「起きたら元の世界か」
「ここにいた」
「夢、じゃねえよな」
久志はいぶかしむ顔で言った。
「やっぱり」
「二人同じ夢を見るとは面白い縁だな」
「そんなことまずねえよな」
「しかも隅から隅まで同じだな」
「そんな夢はねえな」
久志もそれは否定した。
「可能性としてゼロだ」
「つまりだ、俺達はだ」
「寝ている間にか」
「あの世界に行っていた」
「そうしていたんだな」
「そうなっていた、長い旅だったがな」
「一日だったな」
寝ている間のことだったというのだ。
「こちらの世界ではな」
「ああ、ただな」
「ただ、何だ」
「いや、こっちの世界に戻れるのならな」
起きればとだ、久志は英雄にあらためて話した。
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