八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十話 見えないものその六
「好きになれない」
「どうしても」
「読んでいてこうはなるまいと思う」
ヤフーの様にはだ。
「間違ってもな」
「あんまりにも酷いから」
「そうだ、とはいっても馬の様にもな」
その人間の様に生活する馬達だ。
「フウイヌムといったか」
「それがその馬の名前なのね」
「理想的だが理想的過ぎて進歩がない」
「それはそれでなの」
「こちらも一見奇麗だがな」
それでもというのだ。
「そう考えるとだ」
「こちらもなのね」
「問題があるな」
「何か難しい話ね」
「完全な醜悪も嫌だがな」
「完全な理想もなのね」
「それはそれでだ」
どうにもというのだ。
「人間にとってよくはない」
「難しい存在ね」
「もっともヤフーよりもフウイヌムの方が遥かにいいが」
彼等の方がというのだ。
「醜悪の極みよりはな」
「完全な理想の方がなの」
「まだいいだろう」
井上さんはこうも言った。
「まだな」
「そうしたものなのね」
「醜悪を極めるとだ」
それこそというのだ。
「ヤフーの様になるのだと思い知らされる」
「人間は」
「そして自分自身にも思える」
「そうなの」
「読んでいるとな」
ガリバー旅行記のその部分をというのだ。
「自分自身がヤフーに思えてくる」
「フウイヌムとかガリバーさんじゃなくて」
「そちらにな」
「沙耶香はそうなの」
「そう思えた、まるで自分自身が書かれている様にな」
「だから嫌なの」
「会うとしたらな、しかし人間はだ」
今現在ハウステンボスで遊んでいる人達も僕達にしてもだ、人間という存在ならば誰であろうともというのだ。
「どうしてもだ」
「醜いのね」
「その一面がある」
まさにというのだ。
「誰でもな」
「沙耶香にも」
「私もヤフーだ」
その醜悪な存在だというのだ。
「それを自覚せざるを得ない」
「僕は別にね」
ニキータさんは沙耶香さんを見てこう本人に言った。
「沙耶香を醜いと思わないよ」
「そうなのか」
「酷い奴なんてね」
つまり醜い奴はというのだ。
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