夢幻水滸伝
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第七話 夜襲の後でその七
「生き残った奴はちゃんとな」
「調べてか」
「それからどうするか決めるべきやろ」
「ほな降った連中は鳥取城にでも送ってか」
「ああ、武器を全部捨てさせて縛ったうえでな」
この辺りは用心だった、暴れられては元も子もないからだ。
「そうしてな」
「あの城で調べるか」
「そうしよな」
「まあ心を読む魔法もあるしな」
鵺は中里にこうした魔法のことも話した。
「超能力者の魔法でな」
「テレパシーやな」
「そっちの世界の言葉やな」
「それであるけどな」
「ほなそうするか」
鵺は中里のその提案に賛成した。
「ならず者で先も急ぐからもう手早くって考えてたけど」
「手早くか」
「捕虜を取るのは基本やけどならず者やとや」
そうした連中が相手ならというのだ。
「もういちいち構ってられんからな」
「殺すんか」
「そういうこともよくあるわ、この世界」
「シビアやな」
「正規の勢力におらんで悪さしてる連中に配慮とかいらんわ」
鵺は実際にシビアな口調でだ、中里に話した。
「そういうことや」
「そうなんやな」
「ああ、まあとにかく戦は終わった」
立っているのは中里の軍勢だけだった、見れば殆ど誰も傷すら負っていない。誰が見ても明らかな一方的な勝利だった。
「勝ち鬨あげよか」
「そやな、勝ったしな」
「それで飯を食ってな」
鵺はこの話もした。
「少し休んでまた進むで」
「そやな、これで邪魔者もおらん様になったし」
「行くで」
「そうしよか」
中里は鵺の言葉に頷いてだった。兵士に勝ち鬨をあげさせた。それからすぐ干し飯や味噌の朝飯を食わせてだった。
少し休ませた、それからまた進軍となったが。
ここでだ、鵺は中里に言った。
「捕虜を鳥取まで送る連中とならず者の魂を消す連中をや」
「社に向かう奴等の他にか」
「向けなあかん」
「そういえばこっちの世界魂まで消さんとやな」
「誰でも寿命まで蘇ることが出来る」
「魔法でやな」
「そやから死罪の時も首を刎ねたりする以外にな」
そうしたありきたりな死罪だけでなく、というのだ。
「魂までもや」
「消すんやな」
「魂は普通に見える、死んで暫く経ったら死んだ場所に浮かぶ」
「あれか」
見ればだ、確かにだった。透き通った身体のならず者達が中里達の少し上に恨めしそうな顔で漂っている。
「あの連中か」
「あれが魂や」
鵺は彼等を右の前足で指し示して中里に話した。
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