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ブレイブソード×ブレイズソウル~偽剣と共に歩む者~

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実戦

訓練から数週間たったある日の事…
あれからもほぼ毎日訓練をしていたのだが、今日はなにか様子が違う…ような気がする

「お、おい…何処行くんだよ?」

「訓練よ」

「いやそれは分かるんだけどさ…」

急に外に連れ出されたかと思えば森の中に歩き出すグラムサンタ
…この方角、恐らく森の中心に向かっているのだとは思うが…?

「…着いたわ、ここよ」

「やっぱりココか…」

やはり、目的地は森の中心部…歪みが発生した場所だった
グラムサンタはその中心部まで進むとクルリと振り返る

「ここ数日、軽く基礎を教えていたけれど…正直そろそろ面倒だから手っ取り早く実戦で覚えてもらうことにしたわ」

「面倒って…」
軽く頬を引きつらせながら苦笑する
て言うか軽くじゃないだろ、アレ…

「実戦とは言うけど…何と戦うんだよ?」

見たところ辺りにモンスターの姿や気配は無い
ドスっと地面に大剣を突き刺し、ジトっと目の前の魔剣少女を見詰める

「あぁ…それなら大丈夫よ」
そう言うとグラムサンタは自身の魔力を解放する
勿論その際に魔力による衝撃波が辺り一体に被害を及ぼす

「ちょっ!?いきなり何を…!?」

「…このくらいね、今に分かるわ」

「いや、だから…」

「……あら?さっそくお客さんよ、マスター?」

「お客さんって…何が……ッ!?」

猛烈に嫌な予感がし、地面に刺していた大剣を引き抜きその場を離れる

――瞬間、立っていた場所に3発の魔力弾が着弾し、地面を吹き飛ばす

「………もう、今ので大体分かった
見たくは無いけど見てやるよ…」

スッと頭を上げてその魔弾の射手に目を向ける
そこには禍々しい魔力を放つアルバレスト型の冥獣が佇んでいた
…それも以前追いかけっこしたクレイモア型とは比較にならない程の魔力、恐らく【Ω級】だ

「オイグラムサンタ…これが実戦だとしたら俺死んじまうぞ?Ω級とか殺す気満々だろ!?俺ちょっと前まで一般人だったんだぞ!?それを――『前を見なさいマスター!』…おわっ!?」

ガガガッ‼と後ろの倒れた木に3つの魔弾が命中し、消滅させる
…後数瞬避けるのが遅れていたら真っ赤な花を地面に咲かせていたであろう
そして間髪入れずに冥獣はその銃口に魔力を充填し始める

「…と言うかお前ちゃっかり魔剣の中に戻るなよ、ちょっとは手伝えよ…」
『………さっきの魔力の解放で疲れたわ、後は自分でなんとかしなさい』

「嘘だッ!!」

そんな会話をしてる間にも冥獣は「んなことぁ知らねぇ」と言わんばかりに魔弾を放つ
今度は先程よりも弾丸が小さく数が多い、それが広範囲にばら撒かれてゆく
―――つまりショットガンである

「冥獣って地味に知能高いんだなぁ!?
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってか!?」
『下手な鉄砲…ねぇ…なら、その場で立ち止まってみてはいかがかしら?』

「死ぬわ!」

大剣を盾にし、弾丸の雨を凌ぐ
その際、刀身から桃色の魔法陣が展開され、弾丸を防いでいく
一発一発が当たるたびに手が痺れる程の衝撃が走る…が、骨が折れた時よりはマシだ

『マスター、もう一度来るわ
…今度は一発に絞る様ね、気を付けなさい』

「…ソレって避けた方がいい感じか?それとも迎撃?」

『そんな事決まっているじゃない、避けながら反撃しなさい』

「無茶振り頂きました!!」

グッと魔剣を握り締め、自身の魔力を注ぎ込む
急に魔力を流し込んだせいか、刀身に宿る魔力が安定せず、純白と漆黒が混ざり合うように燃え盛る

【ア…アァァァア!!】

冥獣の叫び声と共に、巨大な魔弾が圧倒的な速度で此方に向かってくる

その魔弾の軌道に合わせ、魔剣を斜めにずらす
…そして

「ッ…らぁっ!!」

魔剣で魔弾の軌道を逸らし、そのまま返す刃で魔力を纏った魔剣を下から振り上げる
ただの剣であれば只の空振りだが、魔剣であれば話は別だ
その斬撃は魔力の刃となって地面を切り裂きながら対象へと迫る

【………】ダンッ‼

が、そんな大振りな攻撃が当たる訳もなく
冥獣はその場から横に跳躍しコチラの攻撃を回避する

「チッ…!やっぱ強い!」

『…それより、さっきの逸らし方は止めて下さる?
アレ、結構ビリビリくるわ…』

「はいはい、悪かったな!」

【………………】キィィィン…

無言のまま、またもその銃口に魔力を溜め始める冥獣、しかも今度はかなりチャージ時間が長い

「…おい、これ不味いんじゃないのか?」
『そうね、今のマスターでは当たれば即死、良くて瀕死よ』
「それどっちも同じ様なモノじゃん…!」
『死ぬ気で押し返しなさい』
「…いやアレ…さっきみたいに斬撃飛ばすだけじゃ消しきれないと思うんだが…?」
『だから、死ぬ気で頑張りなさい?』
「………」

頭が痛くなる、どうしてこうも無茶振りばかりなのか…!

『ほら、そろそろ来るわよマスター!』

その言葉と共に、さっきよりは小さいが数が圧倒的に多い魔力弾が俺に向かい襲い掛かってくる
数は…16発程か

「…だぁぁ!もうどうにでもなれぇ!」

覚悟を決め、魔剣に魔力を籠めながら【魔弾に向かって】走り出す

『マスター!?…ッ…!これは…!』

魔剣に籠めた魔力が純白となり、極光を放ち出す
そのまま迫り来る魔弾を斬り裂こうと振りかぶる
―――瞬間、最初に会った時と同じ様な感覚、頭の中に一つの情報が流れ込んでくる

「…!ォォオオオオオ!!」

烈迫の気合と共に第一撃を斬り裂き、続いて第二、第三と続いて魔弾を斬り裂いて行く

それは一撃一撃の全てが必殺の乱舞
そうして16発の魔弾を全て斬り伏せ、そのまま冥獣へと普段ならありえぬ速度で迫る

【ッ!?】

冥獣も驚いている様で、反応が一瞬遅れた
――それだけで十分だった

怒涛の10連撃、それをすれ違いざまに一瞬で終わらせる
数瞬遅れて冥獣の身体中から血が噴き出し、倒れる

【BlazeDrive】ブレイズドライブ…無意識に十夜が放った技は、魔弾を全て斬り伏せ、オマケと言わんばかりに冥獣をも葬った

『…ふぅん?中々やるじゃない、Ω級まで倒せるなんてね…』
「…ハァ…ハァ…終わったのかよ…?」
『えぇ、完全に消滅させる事が出来たら満点をあげられたのだけれど』
「ハッ…無茶言うな…」

大量の魔力を使った反動か、身体の節々が悲鳴を上げている
…が、不思議と身体が少し…いや、大分軽くなっている気がする

『…本来なら【ソレ】はもう少し後に教えようと思っていたのだけど…まぁ、良いわ』
『マスターがさっき使っていたのはブレイズドライブ…まぁ簡単に言えば必殺技ね、膨大な魔力を消費する代わりに強力な攻撃を放てるわ』
「…それってどのくらい凄い訳…?」
『そうね…下級のモンスター程度なら100体前後は軽く倒せるんじゃ無いかしら』
「その代わり魔力消費が酷い、と…」
『マスターの場合、魔力の流し込み方が雑なのよ
そこを何とか出来れば後数発は撃てるようになるわ
…私は元々低燃費だしね』
「そうですか…で?まだやるの?この実戦…」
『えぇ、最初に来たのがΩ級なのには少し驚いたけれど…あら、下級のモンスターもそろそろ来るわよ?』

ゾロゾロと森の奥から現れるモンスター達、見た感じ風属性と闇属性のモンスターだけだ
その全てがかなり凶暴化している

(アイツ等は…まぁ、寝てるんだろうな…)
アイツ等とはいつもじゃれついて来る光属性のモンスター達の事だ、…あんな魔力振が発生しても呑気に遊んでいるような連中だし…と自分の中で完結させる

『もう一度撃ってみましょうか?』
「バカ言え、さっきので魔力はスッカラカンだよ」
『あら、冥獣も数匹居るみたいね』
「おいマジか…!?」
『安心しなさい、Ω級ではないわ』
「そうか、それなら…っていや、安心出来ねぇよ!?」

そんなやり取りをしていると痺れを切らしたモンスター達が一斉に襲い掛かる
…ついでに数匹の冥獣も




―――結局、その全てを倒し終わる頃には日が落ちて空が黒くなり始めた頃だった









 













―――――――

〜自宅〜

訓練後、自宅に帰ってくるなりベットで泥の様に眠り始めたマスター…十夜を見ながら思案するグラムサンタ

「…やっぱり、異常だわ
たった数週間でこの上達具合…」
「あの魔力量も、ソウルに成っている事もそうだけれど…マスターは一体何者なのかしらね…?」
あの時、ブレイズドライブを発動した時の事を思い出す
必要以上に魔力を流し込まれた影響か、未だに身体が痛む

「………正直、Ω級の冥獣が来た時にはヒヤヒヤしていたわ、…マスターには悪いけれど、倒せるとも思っては無かった」

ま、その時はその時で私が蹴散らしていたのだけれど、と一人自慢気に胸を張るグラムサンタ

「いつか貴方のことを全部解き明かしてあげるわ、覚悟する事ね、マ・ス・ター?フフフ…♪」
「おやすみなさい、マスター
今はゆっくり休んでおきなさい…」
スッ…と魔剣の中に消えていくグラムサンタ

夜はゆっくりと更けていく…


 
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