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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九話 観覧車その一

                 第百九話  観覧車
 僕はイタワッチさん、テレサさんと一緒にフォンデュとワインの後はデザートのフルーツも楽しんだ。考えてみれば朝もフルーツでお昼もだ。
 けれどフルーツの中のメロンを食べてだ、僕は二人に言った。
「フルーツは飽きないね」
「ええ、朝もお昼も食べても」
「別にね」
 洋梨やバナナを食べながらだ、二人も僕の言葉に頷いてくれた。
「飽きないわね」
「一日位なら三食同じものを食べてもね」
「果物は飽きないわね」
「そうしたものね」
 二人も言う、けれどこうも言った二人だった。
「このお店のフルーツも美味しいけれど」
「ホテルのものと一緒でね」
「ただ難点を言えば」
「ドリアンもあればね」
「違ったわね」
「あれもあればね」
 キーウィやマンゴーもある、このお店のフルーツは南国のものが多かった。
「違ったけれどね」
「ドリアンは」
「ドリアンだね」 
 その果物についてだ、僕は今度はマンゴーを食べながら応えた。スイス料理の後はトロピカルなデザートだった。
「あれはね」
「日本じゃ殆ど売ってないわね」
「たまにスーパーで見るけれど」
「人気ないのね」
「やっぱり匂いがきついから」
「そう、匂いがね」
 まさにそれのせいだ、ドリアンの場合は。
「凄いから、あれは」
「それでなのね」
「殆ど売ってないのね」
「インドネシアじゃ結構売ってるけれど」
「フィリピンでもね」
 東南アジアじゃ結構売っているらしい、少なくとも日本では。とはいっても食べた日本人の話はあまり聞かない。
 そして二人もだ、僕にこのことを言ってきた。
「東南アジアじゃ殆どの国で売ってるわよ」
「季節になったら皆食べるわよ」
「日本人は色々な果物食べるけれど」
「ドリアンだけはなのよね」
「食べないわね」
「殆ど」
「果物の悪魔っていってね」
 僕はドリアンの通称も話に出した。
「とにかく匂いがね」
「駄目っていうのね」
「あまりにも強いから」
「そのせいでなんだ、味よりもね」 
 実は僕もドリアンは食べたことがない、見たことはあるし匂いも知っているけれどその匂いは僕にとってもだ。
「匂いが凄過ぎて」
「それでなのね」
「日本人も」
「納豆とかくさやとか」
 僕は果物じゃないけれどこういった日本の食べものの名前も出した。
「日本にも臭い食べものはあるけれど」
「そうそう、納豆はね」
「凄い匂いするじゃない」
 イタワッチさんとテレサさんは八条荘でも朝によく食べる納豆の方を言った。実は八条荘でもくさやはまだ出たことはない。
「あんな匂いの食べものなんてね」
「そうそうないわよ」
「味は意外とあっさりしてるけれどね」
「糸も引いてるし」
「噂には聞いてたけれど」
「その目で見て驚いたわ」
 腐っているのかと言われたことは何度あるだろうか、僕も。 
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