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夢幻水滸伝

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第六話 飛将その十一

「もうちょっとしたらあっちの状況を確認するんや」
「仕事中に連絡したらあかんな」
「まあそこはな」
「ちょっと時間置くか、しかしな」
「しかし?」
「いや、こうしたのもあるってな」
 貝殻をその目で見ながらだ、中里は自分が乗っている鵺にこんなことも言った。
「この世界も便利なの多いな」
「魔術の産物やで」
「意思を伝える魔法やな」
「それを応用してや、まあ魔術がメインやけどな」
 鵺は中里に貝殻の話をさらにしていった。
「そこに錬金術とか超能力も入れてな」
「それでか」
「ああ、作ったものや」
「成程な」
「とにかくこれでな」
「難波とも連絡取れるんやな」
「他の星の奴ともな」
 難波だけでなくというのだ。
「連絡出来るで」
「それで何かあればやな」
「それを通じて話が出来る」
 連絡が可能だとだ、鵺は中里に話していく。
「大事に使うんやで」
「そうさせてもらうわ」
「是非な、ほなこっちはな」
「ああ、このままやな」
「兵を進めていくんや」
「そうするわ」
 納得した顔でだ、中里は鵺に頷いた。そうしてだった。
 彼は率いる軍勢を東に東にやっていった、その自分達を後ろから敵の軍勢が迫ってきているのはわかっている。
 しかしだ、ここでだった。中里は敵のことを聞きつつこんなことを言った。
「ほんまアホな連中やな」
「そう思いますか」
「大将から見ても」
「あの連中は」
「ああ、こっちがつかず離れずで進んでることに気付いてないな」
 実際に敵の進軍速度を聞いてだ、彼は軍の速さを調整しているのだ。要するに彼等にその速さに合わせているのだ。
「それも全然」
「はい、それはわし等も思います」
「あえてそうしてることに」
「連中は歩兵ばっかりでこっちは空船や騎馬もいて」
「それで足も結構速いですけど」
 足軽達も訓練されていて整然とかつ一定の歩調で安定して歩けるからだ。
「それでもですな」
「向こうは気付いてないですな」
「誘き出されてることに」
「それも全く」
「そやからアホや、これはや」
 中里はあらためて言った。
「ええ場所に誘き出せるな」
「普通ここまであんじょういきませんで」
「相手疑って慎重になりますから」
「それが全くないですから」
「勝ったつもりで追ってきて」
「皆殺しだとか言うてますわ」
「戦知らん奴等やな」
 今の相手はとだ、中里は看破して述べた。 
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