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夢幻水滸伝

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第六話 飛将その八

「そして完全に叩き潰してや」
「そうしてやな」
「社に行くんやな」
「そうするんや」 
 中里に言う、そしてだった。
 中里は予定通り軍勢を動かした、それは難波も同じでだ。彼は中里からの伝令を聞いて笑って応えた。
「ほなな」
「はい、その通りにですね」
「ああ、動くで」
 こう答えたのだった。
「僕もな」
「では」
「ほなな」
 こうして難波も彼の動きをするのだった。
 中里の軍勢は確かに西に進んだ、だが。
 ならず者達と遭遇する前にだ、その進路をだ。
 東に戻した、それはやけに目立つ動きですぐにならず者達にも伝えられた。すると頭目は笑ってこう言った。
「逃げたな」
「はい、そうですね」
「そうなりましたね」
「よし、じゃあ追うぞ」
 頭目は周りに笑ったまま言った。
「このままな」
「道を進んで」
「そうしてですね」
「ああ、連中が出雲が出てもな」
 そうしてもというのだ。
「追って徹底的に攻めてだ」
「二度と俺達に歯向かえない様にですね」
「そうしてやりますか」
「そうだ、皆殺しにするんだ」
 出陣前に言った通りにというのだ。
「わかったな」
「はい、そうしてやりましょう」
「じゃあ急いでですね」
「追いかけますか」
「そうだ、遅れるなよ」
 こう言ってだ、実際にだった。
「いいな」
「わかってますよ」
「追って追ってですね」
「そして追いついたら」
「その時は」
「ああ、皆殺しだ」
 頭目は下卑た顔で自分と同じ顔の手下達に告げた、そしてだった。
 二万のならず者達は実際にだった、退く中里の軍勢を追った、だが。
 その彼等を空から見てだ、中里の軍勢の物見達はこの時も言った。
「大将の言われた通りやな」
「ほんまやな、追ってきたわ」
「しかも何も考えんとな」
「遮二無二な感じで追って来るわ」
「陣も何もなく」
「もう勝った気でおる感じや」
 彼等から見て追ってきているその状況は呆れたものだった、それでだった。
 彼等からの報告を聞いた中里もだ、確かな顔で言った。
「ここまで読み通りやとな」
「驚きますか」
「ああ、かなりアホな連中やな」 
 今度は呆れた顔で言った。
「正直なところそう思ったわ」
「ほんまやな」
 鵺も横で頷く。 
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