八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八話 プールサイドからその七
「けれどね」
「そうした連中は燃やして燃料にもならないから」
「何の価値もないわ」
「全く以てそうよね」
「言った連中もそういうことを言う連中は」
「下らない連中ね」
「自分が振られてみればわかるわ」
その痛みをというのだ。
「地獄を見ればね」
「地獄、ジャハンナムがわかっていないのよ」
イタワッチさんはムスリムとしての言葉を出した、イスラム教では地獄はこう呼び悪人が落ちてとてつもなくまずい人の頭の形の果物を無理矢理に食べさせられるという。
「それこそね」
「だからそう言うのよね」
「そうよね」
「まあ振った相手も」
テレサさんはその人についてはこう言った。
「太ってる人が嫌とか」
「人を外見だけで見る奴はね」
「大した奴じゃないわよ」
「その通りね」
「うん、だから先輩はね」
僕は遠いめになって二人に話した。
「Aさんは下らない連中のことはね」
「忘れて」
「そうしてっていうのね」
「前を向いて欲しいって言ってるよ」
本当にこう言ってAさんを気にかけている。
「高校時代言われ続けているAさんも見てきたしね」
「言葉は戻らないものよ」
テレサさんは刀みたいに鋭い言葉で言い捨てた。
「それをAさんに言った連中はね」
「自分にだね」
「帰って来るよ」
「そうなるんだね」
「そうよ、因果は巡るから」
それが為にというのだ。
「そんなこと言った連中も」
「何時かはだね」
「痛い目見るわよ」
そうなるというのだ。
「失恋か何かわからないけれど」
「まあね、そうしたことはね」
「言うべきじゃないわね」
「言った相手が傷付くからね」
そしてAさんみたいになってしまう、残念なことに。
「言うべきじゃないよ」
「そうよね」
「軽い気持ちではね」
絶対にとだ、僕は言った。
「もっと言えば絶対にだけれど」
「言いふらしてもね」
「神様は見ているからね」
このことは親父も言っていた、人間いい行いも悪い行いも全部神様が見ているからそれぞれ返ってくるものだとだ。
「だからね」
「私は言わないから、そんなこと」
「私もよ」
テレサさんもイタワッチさんも眉を顰めさせて言った。
「絶対に」
「しないわ」
「僕もだよ、僕の場合はね」
それこそだ。
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