風魔の小次郎 風魔血風録
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87部分:第八話 聖剣伝説その十
第八話 聖剣伝説その十
「鏡!?」
「竜魔の目から鏡が!」
武蔵と蘭子はそれを見て同時に叫んだ。何と正方形の鏡が出てそれが武蔵に向かう。そして彼の側にまで来たのだった。
「鏡が!」
「受けよ武蔵!」
また武蔵に対して叫ぶ。
「この死鏡剣をな!」
「くっ、これは!」
武蔵はその瞬間何かを感じた。鏡に身体が引き込まれていくのだ。彼はそれから逃れようと後ろに跳ぼうとするが間に合わない。そのまま鏡の中に閉じ込められてしまった。彼はその中で呆然とした顔になっていた。
「俺を閉じ込めたか」
「武蔵が鏡の中に!」
「武蔵、貴様を倒すことができれば夜叉は残る三人」
竜魔は武蔵野すぐ側にまで来ていた。そのうえで彼に対して言う。
「ここで死んでもらう。怨みはないがな!」
「くっ!」
「砕け散れ!」
木刀を鏡の中に閉じ込められた武蔵に対して振るう。それにより武蔵の身体は鏡ごと四散しそれで勝負あった。その瞬間はそう思えた。
「勝った・・・・・・竜魔が」
「やったな」
竜魔は砕け散った鏡を見つつ呟いた。
「これでな。夜叉は残る三人」
「さて、それはどうかな」
しかしこの時だった。その武蔵の声が聞こえてきた。
「何っ!?まさか」
「残念だが竜魔よ」
砕け散った筈の鏡が再び元に戻っていく。そのうえでそこで鏡と同じく砕けた筈の武蔵の身体も少しずつ元に戻り。そこから出て来たのであった。
「普通の者ならいざ知らずこの武蔵にはこの技も効かん」
「馬鹿な、死鏡剣を抜けて出るなど」
「飛鳥武蔵、何処まで強大な力を持っているのだ」
竜魔も蘭子も驚きを隠せない。その顔に汗をかき驚愕の色を見せていた。
「だが。見事だ」
武蔵はここでまた言ってきたのだった。
「ここまでの技を見たのははじめてだ」
「ならば」
竜魔はまだその顔に驚愕の色を見せつつも再び構えを取ってみせてきた。
「今度こそは」
「来い」
両者は再び睨み合う。だがここで。また一人戦場に姿を現わしたのだった。
「やいやいやい!」
「小次郎!」
小次郎だった。彼は蘭子の横に駆けてきた。その手にはあの風林火山がある。
「武蔵!御前の相手は俺の筈だ!」
「小次郎、生きていたか!」
「俺がそう簡単に死ぬかよ!」
小次郎は自分に顔を向けた武蔵に対して叫んだ。
「武蔵!来やがれ!御前を倒してやるからな!」
「小次郎、退け」
だが竜魔はその小次郎に対して言うのだった。
「これは俺の勝負だ」
「兄ちゃん、けれどよ!」
「御前の気持ちはわかる。しかし忍の勝負は本来誰も入ってはならぬもの」
彼が言うのはそれだった。
「だからだ。退け」
「ちっ、こんな時でも・・・・・・いや」
小次郎はここで。考えなおしたのだった。
「そうだよな。それじゃあ」
「そういうことだ。では闘いを見ているのだ」
今の小次郎の言葉に微笑む竜魔だった。
「俺の闘いをな」
こう言い終えると再び武蔵に対して構える。武蔵もそれを受けてその長剣を中段に構える。こうして激突しようとするその時だった。
「武蔵!」
「壬生!」
壬生が姿を現わしたのだった。ふらふらしながらも己の力で歩きつつ姿を現わしたのだった。
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