風魔の小次郎 風魔血風録
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43部分:第五話 メッセージその一
第五話 メッセージその一
第五話 メッセージ
項羽と紫炎は対峙を続ける。項羽は相手を見据えたまま言ってきた。やはり羽根は顔の前にかざし何時でも放てるようにしている。
「さて、項羽よ」
紫炎がその項羽に対して声をかける。
「白虎は深手を受けている。早く終わらせてもらうぞ」
「そうだな。それはこちらも望むところ」
紫炎を見据えたまま応える。
「この項羽の羽根でな。受けろっ」
手に持っている青羽根を放った。それは一直線に紫炎に迫る。
「この青羽根は貴様も貫く。それで終わりだ」
「残念だがそれはできない」
しかし紫炎は身動き一つせずに項羽に述べた。
「御前の技ではこの紫炎は倒せはしない」
「何っ!?」
「見ろ」
紫炎が言ったその瞬間だった。彼の前で青羽根達が紫の炎に包まれた。そして黒い消し炭となり地に落ちるのだった。
「この通りだ」
「炎か」
「そうだ。羽根は炎に燃えるもの」
自信に満ちた声と笑みで項羽に言う。
「だからだ。御前は私には勝てない」
「それはどうかな。見よ」
項羽は姿を消した。そして今度は上から放った。
「これならどうだっ!」
「無駄なことだ」
その羽根も燃えた。やはり効果がない。
「何度やっても同じこと。私に青羽根は効かぬ」
「ならば。これか」
姿をまた現わした。今度はそれまでいた白羽陣の中に位置する。右足を一踏みする。するとそれで白い羽根が一斉に舞い上がるのだった。
「この無数の羽根ならどうだ。これで切り刻んでやろう」
「ならばこちらとしてもさらにいいことだ」
「何だとっ!?」
「見ろ」
不敵な笑みを共にライターの火を点けた。ライターから紫の炎が起こる。それだけだった。だがそれだけで紫の炎が白い羽根達を燃やしていき。白羽陣を燃やしていくのだ。
「何っ、俺の白羽陣を!」
「この紫炎の炎はただの炎ではない」
やはり動かずに項羽に対して告げる。
「全てを燃やし尽くす冥界の炎。敵を冥界に送り届けるな」
「では俺を冥界に送るというのか」
「そうだ。これで貴様の命もこの炎と共に燃え尽きるのだ」
「くっ!」
周りにある鬼火の一つを放った。それが項羽を襲う。彼は上に飛び何とかそれをかわした。下では彼の白羽陣が無残に燃え尽きようとしていた。
「俺の白羽陣が。こうも簡単にか」
「燃えるのは羽根だけではない」
着地した項羽にさらに言う。
「御前自身も。受けよ」
ライターを収めた。その上で左手を前に出してきた。
「夜叉紫砲炎!!」
「うっ!」
左手から炎を出しそれを周りにある鬼火達と共に項羽に放った。それは項羽とてかわしきれるものではなく彼の胸と腹を次々と撃った。項羽は反撃する間もなくその場に倒れ込み右膝を着くのだった。
「ぐうう・・・・・・」
「ほう、流石は風魔九忍だ」
紫炎はまだ何とか生きている項羽を見て言った。
「この紫炎の最大奥義を受けてまだ生きているとはな」
「抜かせ。この項羽そう簡単にやられはせぬ」
紫炎に顔を向けて言葉を返す。
「貴様を。倒すまでは」
「そうか。だがそれは適わぬことだ」
紫炎はこう言うと。己の周りに再び炎を漂わせてきた。そして。
「御前はここで倒れる。死ぬのだ」
「うう・・・・・・」
「といきたいだろうけれどね」
しかしここで。また誰かの声が来た。
「むっ!?」
「その声は」
項羽から見て左手だった。二人がそこに顔を向けると麗羅が立っていた。
「麗羅」
「風魔にも援軍か」
「そういうこと。悪いけれど項羽さんはやらせないよ」
にこにこと笑って項羽の前に来て言うのだった。
「僕が来たからね。紫炎だったね」
「そうだ」
麗羅の問いに対して答える。
「麗羅か。話は聞いている」
「僕も有名みたいだね」
「風魔一族きっての炎の使い手」
紫炎の目に闘志が宿る。
「その名は聞いている。同じ炎使いとしてな」
「こっちも聞いていたよ。夜叉一族で一番火を使うのが上手いってね」
「ならば話は早い」
麗羅を見据えたまままた言う。
「どちらの炎が上か。ここで決着をつけるとするか」
「項羽さん、僕が来たからもう大丈夫だから」
麗羅は項羽を後ろに庇ったまま彼に声をかける。
「任せて。いいよね」
「気をつけろ、麗羅」
項羽はその麗羅に対して忠告する。
「あの男、強いぞ。それもかなりな」
「わかってるよ。けれど技はもう見たから」
こう項羽に答える。
「やれるよ。任せて」
「・・・・・・わかった」
麗羅を信じその言葉に頷くことにした。今麗羅は紫炎を見据えていた。二人はそれぞれズボンのポケットにその両手を入れたまま対峙している。
今回先に口を開いたのは紫炎だった。
「項羽にも言ったが白虎は深手を負っている」
「項羽さんもね」
「だからだ。早めに終わらせてもらう」
「こちらもね。それじゃあ」
「参る!」
先に動いたのは紫炎だった。
「夜叉紫砲炎!!」
項羽を撃ったあの炎を放つ。それが今度は麗羅に目掛けて襲い掛かる。だが麗羅はそれを見ても至って冷静なままであった。
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