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ガールズ&パンツァ― 知波単学園改革記

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第二話 対決です!

 
前書き
戦闘描写を初めて書くので下手くそです。
それでも良ければ読んでいただけると幸いです。

 

 




「あたい達と試合しよ!」

 多代が大きな声で千冬に言うとついさっきまで靖香に抱き着かれていた莞奈が言った。

「ほう、お前は私たち相手に試合を挑むというのか?」

 多代は莞奈を無視するかのように言った。

「あたいは『栗林流』のと戦ってみたいんだ!いいだろう?一回ぐらい!」
「おい無視するな!」
「おチビちゃんは黙ってな」
「私はチビじゃない!お前がデカいだけだ!」
「なあ~いいだろ?あたい達と試合しようよ!栗林~!」
「ん~……わたしはいいけど……」

 千冬はそう言うと後ろに居る小百合たちを見た。そして小百合たち3人は笑った。

「いいよ!試合しても!」
「おお~~!ありがとう!」

 千冬の言葉に嬉しくなり思わず千冬に抱き着く多代であった。

「く……苦しい……」
「あ、ゴメン、ゴメン。つい嬉しくなっちゃて……」
「そ、そう……」
「それでいつ試合する?あたいは今すぐにでもしたいんだけど!」
「い、いや今日はもう遅いし、試合するんだって西隊長の許可を取らないといけないし……三日後でいい?」

 詰め寄る多代を抑えつつ千冬は言った。

「そっか……いいよ!それで!それじゃあ三日後にね!」

 そう言うと多代は巴と朱音を引き連れてさっさと帰ってしまった。

「嵐みたいだったね……」
「そうね、でも本当によかったの?」

 莉乃の質問に千冬は首を傾げた。

「何が?」
「試合よ、試合。本当にやるの?」
「何か心配ごとでもあるの?」

 千冬の質問に莉乃は心配そうな顔になりながらなった。

「本気出す気でしょ」
「あの山口っていう人には本気でやってみたい。ダメ……?」
「だから心配なのよ!あの人たちが怪我でもしたらどうするの!?」
「ん~……応急処置しつつ救急車を呼ぶ」
「……もう、あんまり本気出さないでよ!」
「は~い!」

 千冬の返事にますます心配そうな顔になる莉乃であった。


 その後は各自解散ということになり、莞奈たちと莉乃、真衣は先に帰らせ、千冬と小百合はくろがね四起である場所へ向かっていた。

 その場所とは……



「コンビニ弁当でいいよ……早く帰ろうよ……」
「ダメです!姐さんには、しっかりとした栄養のある料理を食べさせないと、いけないんです!」
「じゃあスーパーのお弁当でいいよ……」
「ダメです!」

 お買い物をするためにスーパーへ向かっていた。


 千冬が文句ばかり言っている間にスーパーにたどり着き、小百合はマイバックを肩に掛けながら千冬をくろがね四起から引きずり降ろした。

「車でまってるから小百合だけで買い物してきなよ……」
「そんなんだからキャベツとレタスの区別もできないんすよ!自分で見て、触れて、食べて覚えてください!」
「食べるのは好きだよ?」
「作るのも好きになってください!」

 千冬は小百合に手を引かれながらスーパーの中へ入っていった。




 二人は買い物が終わり知波単学園女子寮に戻ると早速料理を作る準備に入った。千冬も嫌々ながら料理を手伝っていた。

「姐さんは包丁の使い方だけは、うまいっすからね~」
「それ嫌味で言ってるでしょ?」
「褒めてるんですよ~!さあもっと早くキャベツを切って!」
「そっちはただ揚げてるだけじゃん!わたしもそっちやりたい!」
「揚げるってすごく難しいんですよ?マスターするのに最低五年はかかりますよ?それでもやりたいんすか?」
「あ、やっぱりいいです………」


 そんなこんなでできたトンカツを食べ終わった千冬は、後片付けを小百合に任せて三日後の試合に備えて作戦を考えていた。

「ん~……どうやって倒そう?一対一だしな~……待ち伏せしようかな?機動戦?それとも落とし穴作ってそこに落とす?ん~…………」
「落とし穴に落とすのはさすがにやりすぎですよ。ここは『栗林流』らしい戦い方をすればいいんですよ」

 千冬が悩んでいると後片付けが終わった小百合がやってきた。

「でも『栗林流』を知っている相手だからね……どう倒そうか悩んじゃうよ」

 千冬の言葉に小百合ははっきりと答えた。

「だったら姐さんの『栗林流』を見せればいいんですよ。山口って奴もその方が喜びそうだし」
「先輩たちは見に来るかな?」
「西隊長は来るでしょう。あ、あの人に試合の審判を頼めばいいんじゃないですかね?西隊長が見に来るなら他の先輩やら部員が来ますよ?」

 小百合の言葉に何かを思いついた千冬はニヤリと笑いながら言った。

「じゃあ……知波単がやった事がない戦い方をやろう!」







翌日。



「西隊長、ご相談があります」
「相談?昨日の話の事か?」
「いえ、実は山口多代殿から二日後に試合を申し込まれたのでその許可を頂きに参りました」
「あの山口が試合を申し込んできだ……山口はサボってばかりだったのにどうして急に……」

 西は顎に手を当て考え始めたが千冬がその問に答えた。

「おそらく私の昨日の発言が原因でしょう。直接試合をして確かめようとしているのでしょう」

 千冬の答えに西は納得するように頷き、千冬に向けて話し始めた。

「わたしも突撃だけでは足りないと思っていたのだが、栗林は色んなことを考えているのだな……」
「西隊長……」
「栗林はなんであんな事を思いつけるんだ?わたしはそれが羨ましく思うよ……」
「広い視野を持てば西隊長だって思いつけますよ」
「そうかな?」
「そうですよ西隊長。私が二日後の試合で視野を広げて差し上げます。ですので審判の方を宜しくお願い致します」

 千冬は西に頭を下げながら言った。

「そうか。では期待しているぞ!」
「ハッ!!」

 西の答えに千冬は敬礼で返した。




 そして試合当日、知波単学園戦車演習場に千冬と多代がお互いに向き合うように並んでいた。
 千冬の後ろには右から小百合、莉乃、真衣の順番に並んでおり、さらにその後ろには九七式中戦車改、通称チハ改が停まっていた。
 対する多代の後ろには巴と朱音がおり、その後ろに九八式軽戦車、通称ケニがあった。

「両者とも準備は出来ているか?」
「「ハイ!」」

 審判を務める西の言葉に二人は、はっきりと答え、その返事を西は満足そうに頷き言った。

「両者とも、正々堂々と戦車道をするように!互いに、礼!」

 西以外の七人は見事なまでのお辞儀をしたあと、お互い車両へ向かった。千冬はチハに向かいながら心なしかワクワクしながら思っていた。

「久しぶりに戦える」


 その微笑みは、まるで獲物を見つけた獣のような笑みだった。


 チハの前にたどり着くと小百合たちに乗車の指示を出し自身も砲塔のキューポラから乗り込んだ。
 小百合は操縦席へ、真衣は通信席へ、莉乃は装填手の位置に着き、千冬は砲手の位置に着き、いつも右目に付けている眼帯を外し、制服のポケットに入れた。

「車長、指示を」

 小百合が千冬を見ながら言った。その口調はいつもの元気で明るい口調ではなく、とても静かな口調だった。

「スタート位置まで前進しろ」
「了解」

 千冬が指示を出すと小百合は、エンジンを始動させ移動を開始させた。



 多代はケニに乗り込むとすぐに朱音に指示を出した。

「よ~し!友永!早く移動しろ!」
「どこに行けばいいのか聞いてないんだけど?」
「いつもの丘だ!」
「はいはい……」

 朱音はスタート位置に向けケニを走らせた。




 その光景を演習場を見渡せる高台に作られた監視塔から眺めいる者たちがいた。

「栗林のやつ大丈夫だろうか……」
「かっちゃんは心配性だね~」
「し、心配などしておらん!」

莞奈たち四人と……

「栗林のやつ……一体どんな戦い方をするのだろう?」
「やはり突撃をするのでありますか?」
「しかしこの前の会議ではあんな事を言っていたし……」

 玉田、福田、細見などがいた。彼女たちは西に試合のことを聞かされて千冬がどんな戦い方をするのか気になり見に来ていた。

「玉田殿は本当に突撃しか思いつかないんですか?」

隣で玉田たちの話を聞いていた莞奈は思わず質問してしまった。

「我が校の伝統だからな!」

 玉田が大きな声で言うと他の部員も同意するかのように頷いた。その答えに思わず顔をしかめる莞奈であった。






「スタート位置に到着」
「指示があるまで待機」
「了解」

 千冬は小百合に指示を出すとそれ以降はチハの車内は沈黙に包まれた。聞こえてくるのはチハのエンジン音のみで誰も喋ろうとはしなかった。しかし緊張したようすも全く見られない。

 千冬は、ただじっと目を瞑っていた。

 千冬がゆっくりと両目を開いた。
 左目は日本人らしい黒い瞳だが、右目は違っていた。



 まるで血のように紅かった。




『試合開始ぃぃ!』

 西の元気な声が無線機から聞こえてきた。それとほぼ同時に千冬は指示を出した。

「森へ前進、徹甲装填」
「「了解」」

 小百合はチハを森に向け走らせ、莉乃は閉鎖機に徹甲弾を装填した。

「早く来い………戦い方を教えてやる」

 千冬はつぶやくように言った。




「栗林のやつ……どこに行った……?」

 多代はケニの砲塔の上に立ちながら双眼鏡でチハを探していた。

「山口さん、危ないので砲塔の上に立つのはやめてください」
「そんなこと言ったてこうやった方が遠くまで見えるし……」
「いいからやめてください………!」
「わかったって……友永、あんまり森の近くを走るなよ」

 巴が強い口調で注意すると、多代はしぶしぶ車内に戻り、朱音に指示を出した。

「わかったよ、森に居るの?」
「たぶん、森のどこかからあたい達を見ていると思う……こうしている今も……まあ、時間はたっぷりあるし焦らず行くよ」
「了解」





 多代の予想道理、ケニはすでに発見されていた。

「目標は、森には来ないようです」

 真衣は木の上に立ちながら下にいる千冬に報告した。真衣は幼いころ忍道を習っていたので木登りのどはお手の物であり視力も良く一キロ先までは見えるらしい。

「女子高生のすることではないな………」

 千冬は真衣のことを見ていたら思わず言ってしまった。その直後自分の指示で嫌な顔もせずに木に登ってくれた真衣に感謝しつつ言った。

「真衣、下りてきていいぞ」
「了解しました」

 真衣は木から飛び降り綺麗な着地をした。しかしそれを見て千冬は言った。

「真衣、何度の言っているが危ないから飛び降りるのはやめろ。足でも挫いたらどうする」
「大丈夫です。毎日鍛えていますから」

 真衣は平然と言うが千冬としては心配で仕方がなかった。幼いころから見慣れた光景だったが、今や高校生、うら若き乙女が木登りとはどうかと思っていた。『少しは嫌な顔をしてもよかったのに……』と。

「小百合、ここから移動するぞ」
「どこまで移動します?」
「いや、打って出る」
「いいのですか?待ち伏せなくて?」

 莉乃は千冬に質問するとすぐに答えが返ってきた。

「待ち伏せもいいが敵はこちらが待ち伏せをしていることはわかっているだろうし、山口は『栗林流』のことを知っていた。待ち伏せも機動防御も想定しているだろう。だから敢えてこちらから打って出る」
「わかりました、擬装はどうします?」

 千冬の答えに納得した莉乃は擬装のことを質問した。チハには待ち伏せをするために施した擬装網、その擬装網に木の葉などをつけて擬装度を高めている。

「外して行こう。接近戦になったら邪魔になる」
「わかりました」

 莉乃は返事を返すと小百合と真衣と共に擬装を外し始めた。





「敵さん来ないね」
「あたいの勘がはずれた……?」
「まあ……こういう時もあるでしょ」

 森から離れた位置から警戒をしていた多代はいつ撃ってくるの考えていたがいつまでたっても撃ってこないことに焦りを感じ始めていた。

「やっぱりあたい達が突っ込むか……?」
「それは敵さんの思うつぼだと思うよ。あとさっき自分で焦らず行こうって言ってたじゃん」
「こんなに待つとは思わなかったんだよ!」

 多代は操縦席にいる朱音に怒鳴るように言ったが、朱音は平然とした態度で言葉を返した。

「多代ちゃんは昔から待つのが嫌いだよね~、少しは待つことを覚えなよ」
「友永だけには言われたくない!」
「はいはい………なんか音が聞こえなかった?」
「音……?」

 朱音の言葉に多代は耳をすませた。最初は聞こえなかったが微かにだが音が聞こえてきた。その音は森の奥から聞こえて来ており、段々を音が近づいてくるのが多代にはわかった。その音の正体も。

その瞬間、森から閃光が飛んできた。

「ッ!?前進!」

 多代の指示と同時に朱音はケニを前進させていた。朱音が音が聞こえた時からいつでも前進できるように準備をしていたことで何とか回避は出来たが、ついさっきまでケニがいた場所は土煙が舞い上がっていた。

「どうするの!?」
「ジグザグに動き続けろ!動いていれば当たらない!」

 再び衝撃が伝わった。危険と判断して車内に戻っていた多代が思わず砲塔のハッチから顔を出した。ケニのすぐ手前に着弾したことがわかった。

「こっちは動いているのに……!?」





「外したか……徹甲装填、そのまま前進し続けろ」
「装填よし」
「了解」

 千冬が短く命じると莉乃は装填し、小百合は前進し続けた。そう初弾の砲撃も次の砲撃も移動しながら放っていた。
 いわゆる行進間射撃というもの千冬はやっているのであり、この行進間射撃は第二次世界大戦期の戦車では不可能に近いとされるが全国大会でも数人の砲手しかできないとされている。 しかし千冬はそれをやってのけている。命中はなくともすべて至近弾であり、しかも森の中から発砲しているので木と木の隙間から狙っていることになる。

「そろそろ森から出るな……小百合、森から出たらケニに向かって突っ込め」
「了解」
「真衣は機銃を撃ちまくれ」
「了解」
「莉乃は装填早めに」
「了解」

 千冬は全員に指示を出すと照準器の中に映るケニをじっと見つめ引き金を引いた。





「くっそ!何であんなところから撃てるんだよ!?」

 多代は毒づくように言いながら森の中の発砲炎めがけて砲撃をしていたがまったく当たる気配がない。逆に飛んできた砲弾はすべて至近弾となっており着弾するたびにケニの車体を揺らしていた。

「多代ちゃんがんばれ!多代ちゃんだけが頼りだよ!」
「うるさい!友永!しっかり避けろよ!こんなに揺れてたら当てられない!」
「そんなこと言ったって、ジグザグに走ってんのに見越し射撃してくる敵さんに言ってよ!」
「……装填よし」

 言い合いをしながらもお互い手を動かしながらやるべきことをやっていた。
 いつ出て来る?と考えながら巴が装填を終えたので多代は砲撃したが命中せず手前の木に命中し吹き飛ばした。

「山口さん、敵、出て来る」
「えっ?」





「突撃!」

 千冬が言った瞬間、小百合はギアを全開にしスピードを上げ、勢いよく森から飛び出しケニに向け突進していった。突進を開始した直後から真衣がケニめがけて機銃を撃ち始めた。
ケニが撃ってきたがチハのすぐ近くに着弾しただけだった。

「これで終わりだ!」

 千冬が言いながら引き金を引き砲弾が放たれた。
 砲弾はまっすぐケニの側面へ向かい、ケニが大きく揺れた。

 そしてケニの砲塔から白旗が上がった。



『九八式軽戦車走行不能、よって九七式中戦車の勝利!』


 西の声を聴くと千冬は制服のポケットにしまっていた眼帯を取り出し右目に付けた。

「楽しかったね!」

 いつもの笑顔になりながら千冬は言った。
 その笑顔を見た三人も笑顔になった。



 
 

 
後書き
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