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ガールズ&パンツァ― 知波単学園改革記

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第一話 眼帯少女と仲間たちです!

 
前書き
オブラートに包みながら、慈悲のある心でお読みください!お願いします!  

 
 


 知波単学園の学生たちは粘り強さがあり、包容力に溢れ、堅実で、真面目で、義理人情に厚いということで有名だが例外もいる。

 強大な学園艦に万単位の人間が乗り、そこで生活をしている。
 それらすべての人間が同じ性格の方が恐ろしい。

 さてここで言う例外とは知波単学園戦車道の伝統を無視、もしくは否定、する集団を指しており戦車道履修者のごく僅かな人数の少女たちの事を言っている。
その少女たちは自らのことをこう呼んでいる……





『改革派』と





 授業の終わりを告げるチャイムが鳴りそれと同時に教室にいた多くのクラスメイトたちが学食を食べに食堂へ向かっている中、四人の少女たちは、屋上へとその足を運んだ。


 屋上に着くとそこには四人の少女たちが彼女たちを待っていた。

「遅いぞ、栗林」

 声の主は身長が少し低めで髪が短くツリ目の少女だった。

「石原、何で屋上に呼び出すのさ……昼ぐらいゆっくりさせてよ」

 右目に黒い眼帯をつけ、長く美しい黒髪をポニーテールでまとめている少女、栗林千冬くりばやし ちふゆは石原という少女の目を見て言った。

「午後からは戦車道があるんだ。早めに昼ごはんを食べた方がいいだろう?それに屋上だと私たち以外誰も居ないからな」
「私、弁当無いんだけど?」

そう千冬が言うと千冬の左隣に居た少女がカバンから弁当箱を取り出し千冬に差し出した。

「莉乃、なにこれ?」
「千冬の分の弁当よ。どうせこうなると思って予め作っておいたのよ!」

 莉乃と呼ばれたミディアムで黒髪の少女、市丸莉乃いちまる りのは貧相な胸を張りながら言った。

「ありがとう!莉乃!」

 その時、千冬の右隣にいた少女が言った。

「なあなあ莉乃?あたしの分は?」
「あるわけないでしょ?」
「何で作らないんだよ!?」
「自分で作りなさい!このバカ小百合!」
「ひどい!?」

 バカ小百合と呼ばれ落ち込んでいる少女、千田小百合ちだ こゆりはその長い黒髪ツインテールをいじりながらいじけた。

「小百合殿、自分の弁当でよければ食べてください!」
「真衣ちゃんありがとぉぉぉぉ!」

 小百合は、大須賀真衣おおすが まいという名の少女に抱き着いた。彼女も黒髪でショートボブのような髪型をしている。


 そんな光景を見ていた石原莞奈いしわら かんなが大きな声で言った。

「早く弁当を食えぇぇ!」



 莞奈の叫びが弁当を食べる合図となった。
 そこからは千冬のグループと莞奈のグループに分かれて弁当を食べ始めた。




「莉乃の作ったものはいつもおいしいね!」
「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいわ」
「真衣ちゃんの弁当おいしいよ!」
「それはよかったであります!ただのおにぎりですけど……」

 千冬たちは和気あいあいと会話を楽しみながら食べているのに対し莞奈たちは黙々と食べていた。

「まったく……のんきな連中だ」

 莞奈が呟くように言うと隣に居たおっとりとした少女が言った。

「かっちゃんはすぐそういうことを言うね?」
「靖香は甘いんだ!あとかっちゃんて呼ぶな、もう高校生だぞ?」

 赤茶色のロングストレートな髪をした板垣靖香いたがき せいかは穏やかな口調で言った。

「かっちゃんはかっちゃんだよ~」
「はあぁぁ…………」

 莞奈は大きなため息をつくのであった。

 そんな二人のやり取りを見ていた二人の少女たち……辻若菜つじ わかなと服部和佳子はっとり わかこはつぶやくように言った。

「服部、またイチャついてるよあの二人……」
「そうだね辻、いい加減付き合えばいいのに……」

 愚痴を言った。ちなみに若菜は丸眼鏡をかけて黒髪で髪型はショートボブ、和佳子は眼鏡をかけてはいないが、髪型はショートボブである。



 弁当を食べ終わったところで莞奈が立ち上がり、話しを始めた。


「諸君!先日行わられた第63回戦車道全国高校生大会で我が知波単学園は一回戦で敗退した!実にめでたいことだ!馬鹿な先輩どもは、さぞ悔しかったろう!いい気味だ!突撃しか考えられん連中にはいい薬になったであろう!……ここからが本題だ。我ら『改革派』はちょうど一年前から活動を開始し改革の機会をうかがってきた。ついにその時が来たのだ!今こそ維新を起こす時が来たのである!」

 パチパチパチパチパチパチパチパチッ!と靖香が拍手をすると莞奈はドヤ顔しながら千冬を見た。まるで「私を称えろ!」とでも言うかのように。これに対し千冬は「スッ」と手を上げ発言の許可を求めた。

「なんだ栗林?」
「石原はクーデターか事変か何かを起こすきなの?」
「ただの例えだ。維新みたいに大きく変えなければいけない、そう言いたかったんだ」
「そっか……忙しくなるね!」
「そうだな……!」




 午後の授業は戦車道なのでいつもなら戦車がある倉庫前集合なのだが今日は会議室に集合なので会議室には多くの学生が集まっていた。しかしすべての学生が会議室に入れるわけもなく、車長だけが会議に参加することになった。
そこで席順やプリントの枚数などの指示をしているのは先日、隊長に任命されたばかりの西絹代にし きぬよがいた。

「「おはようございます。西隊長」」
「栗林に石原か、おはよう!」
「何か手伝うことはありますか?」
「ならプリントを配ってくれるかい?」
「わかりました」

 二人はプリントを手に取り配り始めた。それを見ていた西は「いつも真面目な二人だなぁ」と思っていた。
 一人は右目に眼帯、しかし困っていようがいまいが率先して手伝い、もう一人は常に冷静沈着、下級生の質問に完璧な回答ができる豊富な知識を持っている、というのが西を含めた多くの学生が思っていたことであった。

 そして何より伝統を愛している、そう思っていた。


 会議が始まり数分後にこの二人があんな発言をするとは誰も予想していなかった。





 会議が始まりまず議題に上がったのは「なぜ負けたか?」と言うものだった。
 多くの学生が「接近できなかったから」「砲弾に当たったから」「気合が足りないから」などなどの色んな意見を発言していた。発言しているのは試合に参加した車長たちだけだった。
ようは、「接近すれば勝てた」と言いたかったらしい。

 そういう発言ばかりが飛び出す中大きな声で千冬が言い、それに続くように莞奈が言った。

「先輩方は本当に勝ちたいと思っているのですか?」
「話になりませんな。こんな戦い方では負けるのは当たり前です」

 一瞬、二人が何を言っているのかが理解できずにいる中で一番最初に二人の言葉を理解したのは西だった。

「どうしてそう思うんだい?」

 西からの質問に千冬がまず答えた。

「敵を発見するなり突撃をしようとするからです。しかも真正面から突撃すればやられるに決まっているでしょう」

 次に莞奈が答えた。

「正直に言えば試合をする前から分かりきっていましたよ。ただ突撃するだけの戦車で黒森峰に勝てるわけないでしょう?先輩方はそんなことも分からんのですか?」

「ふざけるな!貴様たちは我が校の伝統を馬鹿にするのか!?」
「そうだ!突撃こそ我が知波単学園の伝統!」
「突撃がない知波単など知波単ではない!」
「突撃以外に何があるというのだ!」

 二人の回答に西と一人の車長以外すべての学生が反論し二人を怒鳴りつけるように言ったが、二人は顔の表情変えずに淡々と聞き流し、また発言した。

「西隊長、これが今の知波単です。こんな状況ではいずれ格下にも敗北するでしょう」
「伝統と言うよりも、もはや悪習ですな。こんなんでは勝てる戦も勝てませんよ」

 火に油を注ぐような言葉にさらに激しく怒り狂う車長たちを尻目に千冬と莞奈は西をじっと見つめていた。

「諸君、一旦落ち着け!」

 西が怒鳴るように言うと会議室は静寂に包まれ、改めて二人に質問をした。

「二人とも……何か考えがあるのか?」
「もちろんです西隊長」
「その考えとは何だい?」

 千冬は深呼吸をしてからこう言った。

「徹底した防御戦術です。機動防御戦、待ち伏せ、撹乱戦、陣地防御、縦深防御、そして撤退などが挙げられます」

 千冬が言ったのはすべて『攻める』戦術ではなく、知波単学園には無い『守る』戦術であった。






 千冬と莞奈は会議が終わると戦車のある倉庫に向かっていた。そこでほかの6人と合流することになっていたからだ。

「先輩方驚いていたね」
「馬鹿な先輩どもにはいい薬だ……しかし本当にあれほどの馬鹿な集まりだったとは……」
「……ねえ石原?一つ気になる事があったんだけど」
「気になる事?」

 千冬は莞奈を見ながら言った。

「一人だけ笑っている人がいてその人が私たちのあとを付いてきているんだけど……」
「なっ!?」

 莞奈が後ろを向くと誰も居なかった。

「だ、誰もいないぞ?」
「いるよ。あそこ」

 千冬が指を指した方向には一本の木があるだけだった。

「あそこに隠れてるよ」
「……一人か?」
「三人いるね。どうする?」
「……害がないならほっといておこう」
「わかったよ」

 二人は再び倉庫へ向かうために歩き始めた。


 それを追うかのように動き出す三人の人影があった。

「山口さん、たぶんばれてますよ?」
「加来、ばれていたとしてもこのままで行く」
「そっちの方がカッコいいから?」
「その通りだ、友永。よし!もう少し近づくぞ」

 少しずつ千冬たちとの距離を縮める3人であった。




「姐さん!おつかれさま!」
「かっちゃんおつかれさま~!」

 倉庫にたどり着くと小百合と靖香が走ってきた。小百合は千冬の手前で止まったが靖香はそのまま莞奈に抱き着いた。

「靖香っ!?放せ!苦しい!?」
「かっちゃん寂しかったよ~」

 そんなじゃれ合いを見ていた千冬と小百合はニヤニヤしながら言った。

「板垣さんはいつもと変わらないね」
「そおっすね~」
「お前ら笑うな!」

 そこにほかの4人が来た。

「千冬、お疲れ様。はい麦茶」
「千冬殿、お疲れ様です!会議はどうでありましたか?」
「莉乃、ありがとう。真衣、会議はある意味で盛り上がったよ」

 千冬は莉乃から受け取って麦茶を飲みつつ会議の結果を話した。

「おお~!盛り上がったのでありますか!」
「先輩たちはどんな感じだった?」
「怒り狂っていたよ。西隊長以外だけど」

 莉乃の問いに千冬は笑顔で答えた。

「それはよかったわね!」

 千冬たちが話しているところに辻と服部が近づいてきた。

「栗林殿、質問があるのですが」
「どうしたの辻さん?」
「あの三人は知り合いですか?」

 辻が指を指した方を向くと三人の少女が立っていた。

「ああ、ストーカーだよ」
「なるほど。………ストーカーってあんなに大胆なんですか!?」
「落ち着け辻。ストーカーがあんな大胆なわけないだろ?」
「そうか……そうだよな。しかしなら誰ですか?」
「私たちと同じ戦車道履修者だよ」
「それならそうと最初から言ってください!」

 千冬が辻で遊んでいるとその三人が近づいてきた。
 一人は背が高く、髪は長く腰まであり制服を羽織っているだけでワイシャツが丸見えになっている。
 その後ろに控えるように立っている二人は、一人は制服を綺麗に着こなし髪は肩にかかるぐらいに切り揃えており身長は少し低い。もう一人は上下ジャージを着ており髪はショートヘアで身長は高くなければ低くくもない。

「あんた『栗林流』の人だろ?」

 背が高い少女が千冬の前に立ち言った。

「へぇぇ~~~マイナーな流派なのによく知ってるね!」

 千冬は思わず驚きの声を上げた。まさか自分の流派を知っている人間と出会うとは、思っていなかったのだろう。

「あたいだって戦車乗りさ。それぐらい知ってて当然さ!」

 背の高い少女が豊満な胸を張りながら言った。

「あなた名前なんて言うの?」
「あたいの名前かい?あたいは山口多代やまぐち たよって言うんだ!後ろの二人は……」
「加来巴かく ともえといいます」
「友永朱音ともなが あかねって言うんだよろしく!」
「三人ともよろしくね!」

 千冬が多代に手を差し伸べると多代はその手を握り握手をした。



 そしてこう言った。







「あたい達と試合しよ!」



 
 

 
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