風魔の小次郎 風魔血風録
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29部分:第三話 忍の掟その七
第三話 忍の掟その七
「俺を除け者にするたあいい度胸してるじゃねえか!」
「やはりな。小次郎か」
闇鬼は目を閉じたまま呟いた。
「その気配だった」
「不知火だったな」
小次郎は不知火を見据えたうえで彼に問うた。
「そうだと言ったら?」
「今度の相手は手前だな。覚悟しろよ!」
「おい、待て」
また声がした。
「おろっ、この声は」
「おい小次郎」
劉鵬の声だった。見れば彼の後ろには。その劉鵬と他の風魔一族の面々が揃っていた。今度は項羽が彼に対して言ってきた。
「いないから妙だと思ったがな」
「やはり竜魔の後を追いかけていたか」
霧風も言う。
「無鉄砲にも程がある」
「馬鹿だとはわかっているが」
「何だよ、好き勝手言ってくれんじゃねえか」
「御前なあ、大概にしろよ」
兜丸が呆れた顔で彼に言う。
「勝手なことばかりしてんじゃねえよ」
「今度は休んでろって言われただろうが」
また劉鵬が言う。
「いい加減しないとその左足使いものにならなくなるぞ」
「まあそれはなさそうだけれどね」
麗羅が笑って述べる。
「小次郎君に関しては」
「だからよ、これは俺の仕事なんだよ」
「仕事か」
「だからだよ。帰れよ」
「わかった」
そう言いながら風魔一族の面々は動いた。劉鵬と兜丸、それと項羽はまず麗羅に木刀を手渡す。霧風は見ているだけだ。まず項羽が右から、劉鵬が左からそれぞれ小次郎を掴んだのであった。
「うわっ!?」
「だからいい加減にしろつってんだろ」
「わかれよ、何度も言ってるだろうが」
兜丸は小次郎の頭をはたいてから彼を後ろから羽交い絞めにした。
「我儘言わないで大人しくしてろ」
「怪我人なんだからよ」
「そのまま小次郎を抑えておいてくれ」
竜魔は小次郎を抑えた劉鵬達に対して言うのだった。
「そしてだ」
「闘いか」
「そうだ」
夜叉の面々にも応える。
「それぞれ同じ人数同士で戦いそれへの介入は許さない」
「確かにな」
不知火が今の竜魔の言葉を聞いて楽しげに笑う。
「それが忍の戦いだ」
「では。いいな」
「待て。同じ人数同士だ」
「そうだ」
しかしここで陽炎と雷電が出て来た。
「我等も楽しませろ」
「風魔の誰がこの雷電と闘う?」
「向こうは六人だ」
黒獅子も楽しそうに笑っている。
「二人。休むことになるがな」
「いや、待て」
「むっ!?」
この時だった。また誰かが来た。見れば夜叉の面々の後ろに武蔵と壬生がいた。二人は八将軍が振り向く中を先に進み彼等の間に来たのだった。
「今は一人を残してここに残れ」
「どういうことだ、武蔵」
白虎が彼に問う。
「ここで戻れとは」
「いい機会ではないか」
闇鬼も武蔵に問うた。
「ここで風魔の者達を一層できるのだぞ」
「一旦誠士館に戻れ」
だが武蔵は彼等の言葉を退けてまた言うのだった。
「今は一人だけだ。いいな」
「何があった」
紫炎は武蔵のその強い言葉に剣呑なものを察した。
「何者かが誠士館に来たのか?」
「風魔の残っているうちの二人か?それとも他の忍が介入してきたか?」
「それだ」
武蔵はそこを指摘した。
「何者かが誠士館の周りをうろついていたのだ」
「では風魔が」
「そこまではわからない。だが」
「だが?」
「白い超長ランを着ている男だそうだ」
「白!?」
八将軍達は白い超長ランと聞いて一斉に顔を顰めさせた。
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