風魔の小次郎 風魔血風録
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25部分:第三話 忍の掟その三
第三話 忍の掟その三
「ここの飯は上手い」
「そうだ、いいか皆」
劉鵬はここでふと思い出して言ってきた。
「家事は当番でやっていくぞ」
「当番か」
「旅行で来ているんじゃないからな」
こう前置きしてきた。
「だからだよ。当番で洗濯とか掃除とかやっていくぞ」
「料理はどうするんですか?」
「最低ジャガイモとか玉葱の皮位はだな」
麗羅の問いに答える。
「どうも蘭子さんは料理にかなりのこだわりがあるようだからな」
「そうなのか」
「ああ、どうやらな」
今度は霧風に応えた。
「それとも何だ。小次郎にさせるか?」
「馬鹿を言え」
それは竜魔が止めた。
「怪我以前にあいつの料理の下手さは異常だ」
「そうだな。あいつはな」
霧風が竜魔のその言葉に頷く。
「しかもだ。竜魔」
「何だ」
「小次郎は今回の任務から外すべきだ」
真剣な顔になって竜魔に言うのだった。
「あいつはまだ忍が何たるかをわかっていない。だからだ」
「いや、それは待て」
しかし竜魔はそれはしないと述べた。
「今はまだそれはな」
「しないのだな」
「そうだ。見極める」
鋭い言葉になっていた。
「この竜魔がな」
「わかった。では御前に任せる」
「それでだ。今日当たり林彪が来るようだが」
「それはいいことだ・・・・・・むっ」
ここで部屋の障子が開いた。そしてやって来たのは。
「おい、俺の木刀何処にやったんだよ」
小次郎だった。寝巻きにしている赤い膝までのジャージとパーカーで出て来た。
「あれがないと困るだろうが」
「小次郎君」
「おっ、麗羅か」
「怪我はもういいの?」
「こんなのどうってことねえよ」
こう麗羅に言葉を返した。
「こんなのはな」
「だったらいいけれどね」
「それよりもだよ。木刀だよ」
彼が言うのはそれだった。
「俺の木刀何処なんだよ」
「俺が預かっている」
竜魔が小次郎に告げた。
「竜魔の兄ちゃん、それじゃあ」
「待て」
竜魔は木刀を出せ、と言い掛けた小次郎のその言葉を遮って告げた。
「まずは飯を食え」
「飯なんてよ。何時でも」
「いいから食え」
有無を言わせぬ口調だった。
「いいな。まずは食うのだ」
「・・・・・・食えばいいんだな」
「そうだ」
やはり有無を言わせない口調だった。
「話はそれからだ。木刀は渡す」
「・・・・・・わかったよ。それじゃあ」
「ほら、小次郎」
「御飯だよ」
劉鵬と麗羅が空いている場所に座った小次郎に対して御飯とおかずを回す。小次郎はそれ等を受け取ってからまずは礼を述べた。
「悪いな」
「いいから食え」
劉鵬は小次郎のその言葉はいいとした。
「わかったな」
「ああ、じゃあよ」
「蘭子さんの作った御飯だよ」
「あいつのか」
麗羅の言葉に微妙な顔で首を捻る小次郎だった。
「あいつの料理かよ」
「駄目なのか」
「いや、そうじゃねえけれどよ」
首を捻ったまま兜丸にも応える。
「あいつこういうのはいいんだよな」
「料理が上手いのはいいことだ」
項羽が告げた。
「御前も少しは身に着けろ」
「ちぇっ、男の料理は豪快なんだよ」
「馬鹿、豪快と滅茶苦茶は違うぞ」
また劉鵬が突っ込みを入れる。
「御前この前の刺身は何だ」
「ああ、鯉のあれかよ」
「適当にブツ切りにしただけだっただろうが」
こう言って叱る。
「あれは刺身とは言わないだろ」
「いいじゃねえかよ、そんなこと」
「よくない」
霧風が言う。
「食べる方の身にもなれ」
「最低限鱗取って普通の厚さで切れ」
兜丸も言う。
「あんなの食えるか」
「あとで鱗取って鯉こくにしたの僕だよ」
「あれ麗羅だったのかよ」
「そうだよ。小次郎君、鯉は色々な食べ方があるんだよ」
「そうなのかよ」
あまり知らないような小次郎だった。
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