風魔の小次郎 風魔血風録
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21部分:第二話 夜叉八将軍その九
第二話 夜叉八将軍その九
「確かに受け取った」
「では。また会おう」
「いいか、手前等」
風魔の忍者達は風の中に消えていく。その中で小次郎が言うのだった。
「今度会った時は容赦しねえからな」
「馬鹿、だから御前は」
そんな小次郎を兜丸が殴ってから言う。
「そんなのだから怪我するんだろ」
「馬鹿馬鹿言うなよ」
「実際馬鹿だろうが」
そんな話をしながらその場から消える。風魔の夜叉への宣戦布告がこれで終わった。
小次郎は柳生蘭子の屋敷にいた。蘭子の屋敷は古い日本の家であり何処も畳の部屋だ。小次郎はその中の一室で布団に寝かされていた。
「全く。見ないと思っていたらか」
蘭子は小次郎の横に正座していた。小次郎を呆れた顔で見下ろしている。
「飛鳥武蔵とやり合っていただと」
「そうだよ。悪いかよ」
「馬鹿か御前は」
兜丸と同じことを言う蘭子だった。
「あいつは誠士館で最強の男だぞ。それに正面から」
「強い奴に向かうのがこの小次郎様なんだよ」
しかし小次郎は相変わらずの調子だ。
「だからな。今度こそ・・・・・・痛っ!」
「馬鹿、大人しくしていろ」
劉鵬は起き上がろうとして左腿の痛みで苦しむ小次郎に対して言う。
「その怪我でどうするんだ」
「ぐわっ!」
そう言いながらわざと小次郎の傷口を叩くのだった。これはかなり痛かった。
「全く。相変わらず何も考えていないな」
「それも小次郎らしいが。さて」
竜魔はあらためて蘭子に顔を向ける。小次郎を除く他の面々もそれに続く。彼等もまた小次郎の横で並んで正座をしていた。
「柳生蘭子殿」
「ああ」
蘭子もまた彼等に対する。
「我等風魔忍のうちの八人」
後の二人も数に入れていた。
「この度援軍として参上しました」
「暫しの間宜しく御願いします」
「風魔九忍まで来るとはな」
蘭子は彼等の礼に返礼した後でこう述べた。
「話がここまで大きくなるとは思っていなかったが」
「はい。ですがここに来たからには」
「必ずや誠士館、そして夜叉一族を」
「倒して御覧に入れます」
「わかった。ではその間は」
蘭子はそれを受けてまた話をする。
「この屋敷にいてくれ。それでいいな」
「はっ」
「宜しく御願いします」
「何だよ、何だかんだでまた兄ちゃん達と一緒かよ」
小次郎は右手で頭を支えながら横に寝そべり悪態をついていた。
「邪魔なんだよな、全くよ」
「邪魔なんて酷いよ小次郎君」
麗羅はそんな小次郎に笑って言葉を返した。
「折角援軍に来たのにさ」
「だからいらねえんだよ。八将軍もあの武蔵の奴も俺が一人でやっつけるからよ」
「それができなかったから今の様だろうが」
項羽の言葉は容赦がない。
「少しは考えろ」
「ちぇっ、どいつもこいつもよ」
「とにかくだ」
今度口を開いたのは霧風だった。
「相手は夜叉八将軍だ。かなり手強いぞ」
「だからこそ我々が来た」
竜魔が答えた。
「あの陽炎の相手をした十蔵と雷炎の傷を見たな」
「ああ」
「それはな」
皆それを思い出す。二人の傷はかなりのものだったのだ。
「あの二人がな」
「それを考えればやはり我等しかいないか」
「夢魔さん連れて来れなかったのが残念ですね」
麗羅はそれを言った。
「こっちは数が一人足りないですし」
「言っても仕方ないことだ」
それには項羽が答えた。
「伊賀の奴等の動きが気になるからな。抑えだ」
「そうですね。それじゃあ」
「わかったな。さて」
麗羅にこう告げてからまた述べた。
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