風魔の小次郎 風魔血風録
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20部分:第二話 夜叉八将軍その八
第二話 夜叉八将軍その八
「劉鵬」
彼等の中で一際大きい四角い顔の男が名乗った。
「霧風」
流麗な顔立ちの優男が名乗る。
「項羽」
その口に青い羽根を加えている。目は大きく丸めだが鋭い光を放ちその髪は茶色だ。
「麗羅」
少年そのものの笑顔を浮かべた黒髪の少年だ。彼等の中では最も若いようだ。
「兜丸」
赤がかった髪に精悍な顔立ちをしている。その目の光が強い。
「風魔九忍か」
「如何にも」
竜魔が陽炎の言葉に答える。
「そういう貴様は夜叉八将軍の一人陽炎だな」
「ほう、流石にこの陽炎の名と顔は知っているか」
陽炎は竜魔の今の言葉に右手の扇子を扇がせつつ述べた。
「もっともこちらも貴様等の名前と顔は全て知っているな」
「あと三人いるな」
白虎が彼等に問う。
「何処にいる、その連中は」
「林彪と小龍は後から来る」
項羽が白虎に答える。
「それもすぐにな」
「夢魔はどうした」
それを問うてきたのは闇鬼だった。
「九忍の中で、いや風魔の中でマインドコントロールにかけては随一と言われたあの男の気配を感じないが」
「生憎だが夢魔さんは不在なんだよ」
麗羅が彼に答える。
「里でお留守番なんだ。色々あってね」
「あいつは来ねえのかよ」
小次郎は夢魔の不在を聞いて少し残念そうだった。
「折角また一緒に飲もうと思ったのによ」
「馬鹿、御前怪我してるだろ」
劉鵬がその彼を叱って言う。
「酒は怪我に毒だ。止めておけ」
「ちぇっ」
「それでだ、竜魔」
兜丸が竜魔に問う。
「向こうは今十人、こちらは六人」
「おい兜丸」
霧風がここで兜丸に言う。
「小次郎も入れてやれ」
「ああ、そうだったな」
言われて気付いたふりをする。実はわざとだったのだ。
「悪い悪い」
「全く。来てみれば早速負傷とはな」
「うるせえ」
小次郎は霧風に顔を向けて言い返す。しかしそれだけで霧風の言葉は終わらなかった。
「さて、夜叉八将軍が勢揃いか」
「いい機会といえばいい機会だな」
項羽が霧風のその言葉に応える。
「何時でもいいが」
「どうします?竜魔さん」
麗羅が竜魔に問う。
「やりますか?数じゃ負けていますけれど」
「いや」
しかし竜魔は麗羅のその言葉を退けるのだった。
「今は止めておこう。こちらから伝えることもまだだしな」
「伝えることだと」
「そうだ」
今度は武蔵に対して答える。
「小次郎の援軍として風魔の里から来た八人。まずはこの竜魔」
「劉鵬」
「霧風」
「項羽」
「兜丸」
「麗羅」
まずはそれぞれ再び名乗った。
「それと小龍、林彪。我等八人が夜叉八将軍に戦いを挑む」
「ほう、風魔九忍のうち八人も」
「これは楽しめそうだな」
紫炎と妖水がそれぞれ述べた。
「こちらは九人」
小次郎も入れていた。
「そちらは十人。それでいいな」
「わかった」
壬生が竜魔に答えた。
「ならばそれでな」
「よし。それではだ」
竜魔は壬生の今の言葉を受けて今度は懐から何かを出した。それは書であった。
「これを渡したい」
「果たし状というわけだな」
「そうだ。ここに我等の名が書いてある」
右手にそれを持ちながら武蔵に述べる。
「受け取るがいい」
「うむ」
竜魔はその書を手から放した。するとそれで書は風に乗って舞った。武蔵はそれを長剣で受け取る。書は風になびいたまま剣に絡まったのだった。
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