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夢幻水滸伝

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第四話 夢と現実その四

「それで動いてもらうで」
「皆頑張ってや」 
 綾乃がここでまた主座から言ってきた。
「これから何かと忙しいけど」
「忙しいのはいいことでおじゃるよ」 
 夏目は狐の顔でほっほっほ、と笑って述べた。よく見れば狐の顔であるが黒い公家の眉もある。
「人はやることがあればそれに向かえるでおじゃるから」
「そういうものやさかいか」
「そうでおじゃる、では巫女様と宰相さんに都と全体の政はお任せして」
「各自移動や」
「そうするでおじゃるよ」
 この言葉と共にだ、一気にだった。
 綾乃と太宰、そして中里以外の面々は即座に姿を消した。そして太宰が残っている中里に対して言った。
「中里君も移動の術を使えますから」
「そやからすぐにか」
「はい、鳥取に行ってもらいます」
「そこに一万三千の兵がおるんやな」
「はい」
 その通りという返事だった。
「物資も城によおさんあります」
「補給は万全か」
「丹後、丹波の二国から送りますさかい」
「安心してええか」
「はい、ただ若狭は北陸への備えです」
 この国はというのだ。
「物資は二国分で我慢して下さい」
「いや、それだけあれは充分や」
 中里は太宰に笑って答えた。
「やってみせるわ」
「頼みます、鳥取城から西の但馬、因幡はもう無法地帯です」
「そんな状況か」
「ならず者やモンスター、怪物ばっかりいまして」
「大変な状況か」
「しかも出雲も社の周りはこちらの勢力圏ですが」
 しかしというのだ。
「この国の大半もまだ私等の勢力圏にはなりきってません」
「そうした状況か」
「そうです、ですから」
「それでやな」
「道は険しいです、特に出雲の東には二万位のならず者がいます」
「多いな」
「何でかこの連中が急に出て来まして」
 二万もの、というのだ。
「何か厄介なことになってます」
「そうなんやな」
「この連中をどうするのかが山陰の最大の課題です」
「その連中を何とかして出雲の社まで行くんやな」
「お願いします、山陰一つに出来たら鳥取の他にも出雲に城築きます」 
 そうするとだ、太宰は出雲まで至った場合も話した。
「そして芥川君の言った通り」
「山陽をか」
「山陰からも睨みを効かして攻めることもします」
「そうするか」
「はい、ほなすぐに鳥取にお願いします」
「わかった、ほな行って来るわ」
「中里君にも頼むで」
 笑顔でだ、綾乃も彼に話してきた。 
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