夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四話 夢と現実その三
「それだけで行ってもらうで」
「多いな」
「けれど将は自分だけや」
「他の奴は来られんからやな」
「僕は近江に佐藤兄妹を連れて行く」
芥川自身はというのだ。
「そんで東海、北陸を抑える。今言った通りな」
「軍師自らそうせなあかんか」
「ああ、とにかく今は四方に敵がおってしかも人手が足りん」
「そんな状況やからか」
「自分だけで行ってもらう」
「そうか、じゃあ出雲までやな」
「そこの大社まで行ってもらうで」
芥川は中里に笑って言った、そして弥生も言ってきた。
「私が待っていますにゃ」
「ああ、待っててくれや」
「こっちはあまり軍勢おらんさかい」
「はよ行かなあかんな」
「山陽から攻められかねません」
「わかった、すぐに行くわ」
中里は弥生に確かな声で約束した。
「待っていてくれや」
「楽しみにしてます、中里さんイケメンやし」
「ははは、そこでそう言うか」
「女の子にもてません?」
「全然や」
真実を笑って告白した。
「欲しいけれど」
「そうですか、ほな頑張って下さい」
「そこで自分はって言わんとこがミソやな」
「今度合コンしますんで」
それでというのだ。
「彼氏はそこで作れたらなって思ってます」
「工業科の連中とするんやな」
「はい、商業科は女余り工業科は男余りで」
「相性ええな」
「そやからそうしてます」
「成程な」
「そやから中里さんは中里さんで頑張って下さい」
こう彼に言うのだった。
「応援してますさかい」
「ほなな、まあとにかく急いで出雲まで行く」
「そこでその一万三千は出雲に置いて守りにしてな」
「山陽の連中の背中に睨みを効かすんやな」
中里はまた芥川に応えた、弥生と話していた時はにこやかだったがその顔も一変して鋭いものになっていた。
「そうするんやな」
「そして山陽との戦の時はな」
「そこからも攻めるんやな」
「そうする、播磨と海からもや」
「同時に攻めるんか」
「そうするわ、これからのこともかかってるし」
「僕の責任は重大やな」
中里はこのことも自覚した。
「それもかなり」
「そや、出雲は失えん」
「今現在の戦略上の要地か」
「僕等にとってな、それに結構豊かな場所で近くに銀山もあるし」
「銀山か」
「それも欲しいしな」
このこともあってというのだ。
「頼むで」
「ああ、頼まれるは」
「それじゃあ今から各自それぞれの持ち場に移動や」
転移の術を使ってというのだ。
ページ上へ戻る