八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六話 光の魔法その十四
「むしろです」
「このハウステンボスで、ですか」
「いつも八条荘のことを何でもしてくれています」
もうご高齢なのにだ、このことだけで頭が下がる。それで僕は余計に思って言った。
「ですから」
「羽根を伸ばせと」
「そうです」
まさにその通りだった。
「是非」
「そうですか」
「はい、休まれて下さい」
僕が行くつもりだった、だが。
ここでだ、畑中さんの携帯が鳴って。
ポケットから携帯を取り出してメールをチェックしてからだった、僕に話してくれた。
「妻がこちらに来るとのことです」
「奥さんが」
「間もなく駅に到着すると」
「そうなんですか、じゃあ」
「妻にです」
まさにとだ、畑中さんも言った。
「頼んでみますか」
「そうしましょう」
僕も畑中さんに応えてだった、そうして。
畑中さんは奥さんにメールを返すとすぐにまた返事が来たみたいだった。それから僕にあらためて言ってきた。
「了承してくれました」
「そうですか、じゃあ」
「妻が共にいますと」
「奥さんがご一緒ですと大丈夫ですね」
「はい、妻は猛者です」
薙刀に古武術だ、薙刀のある流派の免許皆伝で八段、しかも古武術も畑中さんと同じく相当な腕である。
「ですから」
「お二人のことをですね」
「任せられます、そして」
さらにだった、畑中さんは話してくれた。
「ハウステンボスにおられる方々は」
「畑中さんがですか」
「この中におられるなら」
確かな声で僕に約束してくれた。
「すぐに駆け付け」
「そして、ですか」
「不埒者を成敗致します」
「その剣道と古武術で」
「相手が刃を手にしていても」
それでもというのだ。
「生半可な者に遅れを取りませぬ」
「自信がおありですか」
「少なくともどの方にもです」
女の子達も僕もというのだ。
「ご安心下さい、ただ」
「単独行動は、ですね」
「それだけはお止め下さい」
ハウステンボスの中でもというのだ。
「万が一がありますので」
「わかりました、このことはですね」
「女性の方々にもお話していますので」
「そうですか」
「はい」
まさにというのだ。
「このことはお願いします」
「特に女の子が一人だと危ないですからね」
「何処にも不埒者はいます」
それこそ何時でも何処でもだ、そうした輩は存在している。勿論このハウステンボスの中も同じことである。
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