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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百六話 光の魔法その十三

「それでもとです」
「行かれるんですね」
「そう言われています」
「じゃあ朝御飯を食べて」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「すぐに行かれるとのことです」
「わかりました、裕子さんにとっては待ちに待ったですね」
「里帰りの時なので」 
 それでなのだ。
「楽しみにしておられます」
「お一人で帰られるんですか」
「いえ、早百合様もです」
「一緒ですか」
「早百合様も長崎市に行かれて」
 そしてというのだ。
「裕子様のご家族とお会いしたいとのことなので」
「そういえば」
 僕は畑中さんのこのお話で思い出した、早百合さんはピアニストで裕子さんは歌手でどちらもクラシック関係でしかもかなりの実力がある。
「お二人は似ている部分もありますね」
「はい、近頃よく早百合様が演奏をされて」
「裕子さんがう合う」
「そうされていますので」
 だからというのだ。
「仲がいいのです」
「親密になられてるんですね」
「この夏休みの間にかなり」
「だからですか」
「はい、それで」
 そのうえでというのだ。
「お二人で行かれるとのことです」
「じゃあおふたりは夜まで」
「こちらには帰られません」
「わかりました」
 僕は八条荘の管理人として畑中さんのお話に頷いた、今は八条荘にはいないけれどそれでも住人の皆の現在地はこうした旅行の時は特に把握していなくてはと思って聞いた。
「お二人は長崎市で」
「他の方々はハウステンボスです」 
「今日もですね」
「こちらで楽しまれるとのことです」
「わかりました」
 ここまで聞いてまた頷いた僕だった。
「それじゃあ」
「義和様もですね」
「今日はこちらにいます」
 このハウステンボスにだ。
「それで楽しませてもらいます」
「私もです、ただ」
「ただ?」
「お二人だけで安全なのか」
「心配ですね」
「はい、何かあるかともです」
 八条荘を実質的に取り仕切っているからこその言葉だった、畑中さんはむしろ僕以上にお二人のことを心配している感じだった。
「心配です、よければ私が」
「ボディーガードにですか」
「同行させて頂きますが」
「そこまでは、それを言いますと」
「義和様もですか」
「そう思いますが」
「いえ、義和様はこちらで楽しまれて下さい」
 ハウステンボスでというのだ。
「私が行きます」
「いえ、畑中さんこそです」 
 僕は畑中さんに強く言った。 
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