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夢幻水滸伝

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第三話 都へその三

「何度も言うてるけれどな」
「それを受け入れなあかんか」
「そや、ほな都に戻るで」
「空飛んでやな」
「神具でな」
「ほなご主人乗れや」
 鵺が中里に言ってきた。
「飛ばすから覚悟しいや」
「飛ばしても落ちることはないねんな」
「ただし風圧は受ける」
 飛ぶ時のそれはというのだ。
「それに覚悟するんや」
「わかった、そのこともな」
「最初はそれに慣れることや」
「風圧にか」
「それから戦うんや、ええな」
「わかったわ」
 中里は鵺のその言葉に頷いた、そしてだった。 
 実際に鵺の背に乗った、その前に鵺の背に赤い鞍と鐙が付けられた。見れば九尾の狐にも黒いそうしたものが付けられた。だが。
 八岐大蛇の背に立って乗った綾乃を見てだ、中里は彼女にこう言った。
「綾乃ちゃんはそのままか」
「龍やさかいな」
「乗るのに鞍とかいらんか」
「いつも立って乗ってるねん」
「それで移動してるんやな」
「そやで」
 綾乃は大蛇の背から話した。
「これが結構乗り心地がええで」
「そやねんな」
「しかも大蛇ちゃんめっちゃ強いし」
「大蛇ちゃんって」
「ちゃん付けしたらあかん?」
「こんな凄い外見やしな」
 巨大でしかも八つの頭を持つその姿を見てだ、中里は言った。
「ちゃん付けはな」
「これで性格は可愛いねんで」
「そうなんか」
「ユーモアがあって気さくで」
「趣味はお笑い観ることや」
 大蛇も言ってきた。
「あとお酒を飲むことや」
「お酒はわかるけどお笑い好きや」
「特に漫才がやな」
「そうやねんな」
「いつも観てる、あと好きな食べものは釜揚げうどんや」
「何百人前食うんやろな」
 そのうどんをとだ、中里は大蛇の八つの頭のうちの一つの言葉を聞いて思った。
「というか蛇やのにうどん食うんか」
「何でも食うで」
「肉もやな」
「勿論や、わしは雑食やねん」
「雑食の龍ってのも凄いな」
「そうした龍っちゅうこっちゃ、ほなご主人もわしに乗ったし」
「いざ都にやな」
 中里は大蛇にも応えた、そしてだった。
 三人はそれぞれの神具に乗ってだ、伊勢から都に戻った。すると芥川が言った通り文字通り一瞬でだった。
 一行は都の前に来ていた、都はあまり高くない壁に囲まれた縦長の長方形の城塞都市だった。堀はなく正門が南にあり宮殿は北にあった。 
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