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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五話 夜になってその十五

「慣れないとね」
「無双になれないでござるな」
「BASARAにもね」
 僕は冗談を入れてこの言葉も出した。
「なれないよ」
「左様でござるか」
「マルヤムさんはやっぱりそうしたゲームは幸村だよね」
「無論でござる」
 他に選択肢はないという返事だった。
「幸村殿程立派な方はおられぬ故」
「確かに格好いいね」
「義に生き義に死す」
 その真田幸村の生き様についてだ、マルヤムさんは言った。
「悲しくかつ素敵でござる」
「まさに日本人好みの英雄なんだよね」
「日本人はハッピーエンド嗜好ではないでござるな」
「何かね」
 そういえばそうかも知れない、ギリシア悲劇やそれの影響が色濃いイタリアオペラと比べてもだ。毛色は違うけれど。
「最後は悲しく、けれど格好よくね」
「散るでござるな」
「そうした結末が好きだね」
「だから幸村殿は人気があるでござるな」
「今もね」
「そうでござるな」
「まあここは長崎だから」
 ハウステンボス、この場所があるこの県はというと。
「幸村さんはあまり関係ないけれどね」
「黒猫ネ」
「あれあるな」
 ジューンさんと水蓮さんがすぐに言ってきた。
「あの佐賀ノ」
「祟りあるな」
「よく知ってるね」
「佐賀の娘に教えてもらったノ」
「私もあるよ」
「佐賀県では黒猫を嫌うっテ」
「生まれたら捨てたりしていたそうあるな」
「そう、お隣の県の話だよ」
 その長崎県のだ。
「こっちはまた別だけれどね」
「黒猫の話は有名ネ」
「そうあるな」
「日本全体で有名だけれど」
 それでもだ。
「もうその話の起源だからね」
「ポーの小説でも黒猫ってあるシ」
「中国でも猫の怪異話は存在するある」
「だから黒猫はネ」
「不吉という話はわかるある」
「黒猫はそんな話が多いね、大阪は違うけれど」
 僕達が今は住んでいる神戸のお隣のその街はだ。
「商売繁盛を招くって喜ばれてるんだよね」
「そういえば大阪から来てる子は黒猫好きデ」
「可愛いって言ってるあるな」
「日本でも地域によって違うんだよね」
 黒猫への認識もだ、同じ国なのに本当に違う。
「まあ長崎はお隣だけれどそうしたお話はないけれどね」
「若しも今ここに黒猫がいたら」
 今度は日菜子さんが話した。 
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