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監獄ロック

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第三章

「どんどん死刑にすべきです」
「君はそうした考えだね」
「そうです」
 はっきりとだ、俺はマネージャーに答えた。
「そんな奴はですよ」
「死刑にしてもおかしくない」
「というかどんどん死刑にして」
 そしてだ。
「無駄な税金もなくして世の中の空気もよくすべきです」
「そう言うんだね」
「はい」
 俺はまたはっきりと答えた。
「そうした連中なら、けれど」
「世の中色々だね」
「うん、実はこれから行く刑務所は交通刑務所なんだ」
「ああ、交通事故の」
「そうだよ、加害者のね」
 そうした人のというのだ。
「刑務所だよ」
「そうですか」
「じゃあいいね」
「はい、今からですね」
「刑務所に入ってね」
 交通事故で誤って罪を犯してしまった人達のところに行ってだ。
「歌ってもらうよ」
「いつも通りですね」
「うん、いつも通りね」
 まさにというのだ。
「そうしてもらうよ」
「わかりました、それじゃあ」
「今からね」
「歌わせてもらいます」
 こう言ってだ、そしてだった。
 俺は刑務所に入ってまずはステージの用意をした、刑務所に入る時にふと収容されている受刑者の人達の顔を見たが。
 その顔を見てだ、俺はマネージャーに言った。
「何か特に」
「受刑者の人達の感じはだね」
「はい、特に」
 これといってだ、見た限りだと。
「人相の悪い人いないですね」
「そういうものだよ、ここはね」
「過失犯だからですか」
「項垂れて暗い顔の人が多いね」
「そうですね」
 言われてみればそうだ、ここの人達の顔は。
「間違って、ですね」
「罪を犯してしまった人達だから」
「交通事故なんて」 
 それこそだ、俺もバイクが好きだけれど。
「誰もが起こしかねないですね」
「そこは紙一重だよ」 
 まさにというのだ。
「本当にね」
「何かちょっとしたことで、ですね」
「気をつけていてもね」
 本当にそうしていてもだ。
「悪いことをしてしまって」
「そしてですよね」
「ここに来てしまうからね」
 そうして来てしまった人だからというのだ。 
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