八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四話 夜の海と花火その十二
「そう願っているわ」
「そうですか」
「では、でござる」
ここまで話してくれたチェチーリアさんにマルヤムさんが言った。
「そうしたことも思い忘れずに」
「そのうえで」
「今夜はパエリアを頂くでござる」
「味を忘れないで」
「その味をペルーの人達皆が楽しめる」
「そうした国にしようと」
「誓うべきでござる」
マルヤムさんは微笑んでチェチーリアさんに話した。
「そうあるべきでござる」
「それでは」
「今は楽しむでござる」
マルヤムさんがこう言ったところでまずはワインが一本ずつ来た、よく冷えていてボトルに雫が付いている。
ワインのコルクが開かれてだった、それぞれのグラスに注ぎ込まれて。
遂にパエリアが来た、チェチーリアさんはそのパエリアを見て微笑んで言った。
「では」
「はい、このパエリアを」
「三人で食べるでござる」
「海の幸が沢山あると」
チェチーリアさんは微笑んだままこうも言った。
「それだけで違うわ」
「お好きなんですね、シーフードが」
「さっき話したけれど」
「本当に」
「ペルーは多くの場所は高い場所にあって」
そしてというのだ。
「私自身高い場所にいたから」
「海の幸は、ですか」
「食べられなかったから」
それでというのだ。
「嬉しいの」
「それで、ですね」
「ペルーでも誰もが何処にいても」
例えリマ等高原地帯の都市にいてもというのだ。
「パエリアや海の幸を使ったお料理を食べられる」
「そうした国にする為に」
「頑張るわ」
「そしてその為にも」
「この味を忘れないで」
これから食べるパエリアのその味をというのだ。
「頑張っていきたいわ」
「それじゃあ」
「食べましょう」
これからというのだった。
「今から」
「さて、食べるでござる」
マルヤムさんはまずはスプーンを取った、海老や鱈、それに鶏肉を食べる為のフォークとナイフもある。そして食べた後の骨を入れる為のお皿も用意してもらっている。
「楽しみでござるよ」
「僕もだよ」
「ワインも飲んで、でござる」
「そしてね」
「心ゆくまで楽しむでござるよ」
「そうしようね、いやさっき二本飲んだけれど」
ホテルでのディナーの時にだ。
「もう一本飲んでもいけそうだしね」
「そうでござるな」
「うん、じゃあね」
「ワインも楽しむでござるよ」
「三人でね」
チェチーリアさんが思い入れが強いシーフードが沢山入ったパエリアをだ、僕達は三人で食べはじめた。ディナーの後も食事とワインを楽しむのだった。
第百四話 完
2016・8・18
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