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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四話 夜の海と花火その十一

「本当にね」
「そうでござるか」
「だから食べるものも」
 こちらもというのだ。
「本当にね」
「遅れているでござるか」
「そうなの、パエリアも」
 僕達が今食べる料理もというのだ。
「食べられない地域もあるわ」
「そういえばペルーは」
 ここで僕は思い出したことがあった、それは何かというと。
「そうした問題もありますが海もあって」
「わかったわね」
「はい、高原が多くて」
「アンデス山脈にある国だから」
 南アメリカ大陸の西部に北から南まで連なってある山脈だ、この大陸の背骨と言っていい山脈だろうか。
「だから」
「高い場所にある街が多いですね」
「リマもそうよ」
 首都があるこの街もだ。
「それにインカ帝国もね」
「あっ、高い場所にあった国でござったな」 
 マルヤムさんも気付いた。
「アステカ帝国と同じで」
「ええ、場所はかなり離れていたけれど」
 アステカ帝国はメキシコにある、同じ中南米にあるけれど実はかなり距離が開いていて互いの影響は殆どなかったらしい。
「それでも」
「インカ帝国は高原にあった国でござったな」
「アステカ帝国みたいに」
「マチュピチュもそうだったね」
 僕jはこの謎の遺跡のことも思い出した。
「あの街も」
「山の高い場所にあったでござったな」
「ナスカの地上絵も」
「ペルーは高い場所にある国でござるな」
「そうだよね」
「山にあるので」
 チェチーリアさんはまた話してくれた、話をする間にお店の奥からパエリアを調理しているかぐわしい香りが漂ってきた。晩御飯は食べたけれど食欲を刺激された。
「だから」
「シーフードは」
「縁がなかったわ」
「そうでしたね」
「だからパエリアは」
「スペイン語圏でも」
 言うまでもなくスペインと同じ言語を喋っていてもだ。
「そうそう食べられるものじゃないんですね」
「まだ」
「そうなんですね」
「本当に海辺は別よ」
 ペルーでもだ。
「それでもね」
「まだ、ですね」
「食べられる人は限られているわ」
「誰もがこうしたものを食べられる」
「ペルーがそうした国になるには」
 チェチーリアさんは僕とマルヤムさんに遠くを見る目で話した。
「まだ先のことよ」
「そうですか」
「だから私は思うの」
「ペルーの誰もがですね」
「パエリアを食べられる様になりたいって」
「平和になって豊かになって」
 そうしてというのだ。 
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