| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ブレイブソード×ブレイズソウル~偽剣と共に歩む者~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

プロローグ





―――雪が…踊る…舞い踊る妖精の様に
それは次第に激しさを増し
荒ぶる吹雪と変わる…




キンッ!ギャリッ‼ギィンッ‼!


白銀の世界で何かがぶつかり合う音が響く
それは辺りの建物、降り積もる雪すら吹き飛ばすほど激しさを増してゆく…

その中心となる者は二人、片方は巨大な白い刀身に血のような紅いラインが入った大剣を持つ少年
そしてもう片方は…上半身は女性、下半身は異形の【ナニカ】だった

【フンッ!】
「ガッ…!?」

――幾度とないぶつかり合いの中、一瞬の隙きを突かれ異形に少年が弾き飛ばされる
「グッ…!」
だが、いくら弾き飛ばされども少年は剣を杖にする様に立ち上がり、もう一度…剣を倒すべき【敵】に構え直す

『…マスター、これ以上は…』
「分かってるッ…!」

血に塗れ、片腕を折り、片目を潰されても尚立ち上がり続ける少年
…普通ならばとっくに死んでいる様な傷を負いながらも立ち向かってくる者に対し鼻を鳴らしながら異形は嘲笑する

【人間の割には良く持った方だ…だが、これで終わりだ
貴様を消し、この世にもう一度…】

「…ッ!黙れよ…まだ俺は戦える!」

【…愚かだな】

そう言うと、異形は辺りの魔力を集め始める

「!やれるか!?――――――ッ!!」
『…えぇ、マスターが望むのなら』

轟、と少年の体から魔力が迸る
それは辺りの地面を砕き、空間が悲鳴を上げるほどに高まっていく
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!」
【消え失せろ!人間ッ!!】
「消えるのは…―――!テメェだぁぁぁぁあ!!」

二つの莫大な魔力を乗せた一撃がぶつかり合い…そして―――




〜〜〜〜〜


――ふと、目が覚めると見慣れた天井が見えた

「………また、か…」

少年はベッドから体を起こし、立ち上がる
その体は汗でビショビショになっており、悪夢か何かに魘された後のようであった

「着替えるか…」

〜〜〜〜〜

汗で濡れた服を脱ぎ捨て、軽く体を拭いてから新しい服に着替える

「今日は誰も居ないんだったな…」

ポリポリと頬を掻きながら「もう少し寝てても良かったかなぁ」と呟く
見れば時計は早朝の6時を指していた

「んー…朝の挨拶がてら散歩でもすっかな」

軽く外へ出る準備をし、玄関にある3つの札の内一つを裏返す
そこには…
【十夜・外出中】

「さて、行ってきます」

誰もいない家に向けて声を掛け、少年…十夜は外へ出る
――開け放たれたドアからは冷たい風が流れて来た




〜〜〜〜〜


外は凍えるような寒さで、昨晩大雪でも降ったのかそこら中が真っ白な世界に染まっていた
―――魔界は只今絶賛冬真っ盛りであった

「ったく…【火の魔石】でも持ってくれば良かったか?」

刺すような寒さに愚痴を漏らしながら見慣れた街を歩く

「…誰も居ないな、流石にこの寒さじゃ出て来てる奴は居ないか…」
「――よし、久々に森の方行ってみるか」

街に人が居ないと確認するや否や、すぐに踵を返し街の反対側にある森へと向かう








―――突然だが、ここらのモンスターは大人しく滅多に人を襲わない
むしろ友好的なモンスターさえ居る始末だ

…とは言えモンスターと仲良くする奴なんて殆ど居ない

…そう【殆ど】だ、一握りとはいえモンスターと仲良くする人間も中には居る

「おー、皆元気にしてたかぁ?」
『キシャシャシャッ!』
『グルォォォォ‼』
『~~~♪』

…この少年、十夜もモンスターと仲良くする、言っては悪いが変な人間である
十夜の周りにはカニ型のモンスター、クマ型モンスター、妖精等が大量に群がる
一見すると大量のモンスターに襲われている一般人だが、それらの頭などを撫でているその人間の姿を見れば目を疑うだろう

「ははっ、くすぐったいって…!!」

群がっているモンスター達は揃って黄色い体色を持つ、俗に言う【光属性】のモンスターだった
十夜は必ずと言って良いほど光属性モンスターに懐かれる………一部例外は居るが

「ほぉら、離れろって…挨拶しに来ただけなんだからさ」

『キシャァ…』
『グル…』
『(´・ω・`)』

十夜が一声掛けるだけでモンスター達は大人しく離れる
………寂しそうに森の奥に消えていくモンスターに少し罪悪感が滲んだ苦笑をしながら手を振る

「さて、完全にやる事無くなったな
………よし、帰って二度寝するか」

物凄い寒いし、と小声で付け加えてもと来た道を戻る…
―――瞬間

ドクン

「ッ!?」

とてつもない魔力の波動が辺りに広がった
その余波か、地面が揺れ木の上に積もっていた雪が落ちてくる

ドクン…

「いきなり何だよ!?帰ろうと思った矢先にこれかぁ!?」

ドクン…ドクン…

心臓の鼓動にも似た重苦しい魔力の波動に気圧されながらも声を張り上げるあたり流石と言えば良いのだろうか…

そして…

ドクンッ‼
ゴォォォォッ‼

一際強い波動の後、前方から吹雪のように積もった雪が迫ってくるのが見えた

「ちょっ!?ウソだろ!?」

咄嗟にその場に蹲りやり過ごす
たまに混じっている木の枝や小石等が痛いがこの際そんなことはどうでも良い

「(さっきの波動…【冥獣】…?いや、それよりも…!)」

そうしてやり過ごし、吹き荒れる魔力の嵐が収まる頃には…
あたりの木々はほぼ全て薙ぎ倒されていた

顔を上げた十夜が見たのは…
「な…!空間が…歪んでる…!?」

前方50m程だろうか、そこだけがグニャリと歪んで居た
…十中八九、さっきの波動はコレのせいだろう

「スゲェな…これ、初めて見たぞ…?」

フラフラと歪みに引き寄せられるように歩みを始める十夜
そうして目の前まで近付いた時、また不自然に歪みが輝き始める

「…!不味っ!?」

もう一度莫大な魔力の波動を間近で喰らい、近くの残っていた木に叩きつけられる

「ギッ…!いってぇ…!」

肺にあった空気が全て吐き出され背中がジンジンと痛む

「ったく、なんなん……だ…?」

ヨロヨロと立ち上がりつつ歪みの方へ目を向けると、既にそこには歪みはなく、代わりに…

「大…剣…?」

―――そこには、真っ白な刀身に赤い、紅い模様が刻まれた巨大な剣が突き刺さっていた



それは、運命の出会い
ここに魔剣と少年【十夜】は出会い、始まる
新たな、物語が…

 
 

 
後書き
短い、かな…?
一旦ここで終わりです
それと簡単な用語紹介を…

用語紹介
【火の魔石】赤くて丸っこい石、精霊が住んでると言われてるらしい
ちなみに火の他に水、風、光、闇の玉がある

【冥獣】
読みはヒトガタ
魔剣と呼ばれるものが変異したモノ…
戦闘力は普通のモンスターの比ではなく、被害も大きい

【謎の大剣】
放たれる魔力から、ただの剣では無いことを思わせる
魔剣であることは確実だが…?

これを読んでブレ×ブレに興味を持って頂けたら幸いです( ・ิω・ิ)
ではまた次回… 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧