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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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98部分:それぞれの思惑その一


それぞれの思惑その一

               第三夜 トラキアの竜騎士
                 それぞれの思惑
 レンスターのリーフ王子救援とレンスター解放を掲げる解放軍の強さはフリージ家やグランベル帝国の予想を超えるものでありダーナ、メルゲン、ターラ、レンスター、そしてアルスターを瞬く間に手中に収めた。今ま抑圧されていた民衆は活気付き各地で反乱やサポタージュが起こった。シレジア、アグストリア、ヴェルダンでの反乱軍の勢いは止まるところを知らず帝国の勢力は日に日に弱まっていた。帝国本土でもシアルフィだけでなくヴェルトマー、バーハラ以外の各地で不穏な動きが見られ帝国の精鋭は迂闊に動けない状況にあった。また帝国皇太子ユリウスが素性の知れぬ不気味な側近達と軍を率いミレトスに進駐しかの地を完全に鎖国状態に置いている事も不安を煽っていた。皇帝アルヴィスも相変わらずバーハラの宮殿の奥深くから出て来ずグランベル帝国を暗雲が覆わんとしていた。
 グランベルに暗い影がささんとしていた頃レンスターにおいては風雲急を告げていた。
 アルスター及びレンスターを解放したセリス率いる解放軍は一旦軍をアルスター〜レンスター間で停止し陸路及び海路から物資を補給し闘技場や市民達の援助により資金を調達し、その資金で装備を強化していった。またその訓練は激しさを極め、諸将で上級職に昇格出来る者は全て昇格する程だった。とりわけロードナイトに任じられた盟主セリス、マスターナイトに任じられたリーフの成長は目を見張る程であった。その勢いは止まるところを知らず今にもレンスター全土を解放せんとしているかの如くだった。
 対するフリージ軍も必死だった。緒戦の敗北で失った戦力を補うべく集められる限りの戦力を集めアルスター〜レンスター以東の歳や村に戒厳令を発した。対シアルフィ総司令官にブルーム王の娘でありトゥールハンマーの継承者イシュタル王女が就きその下にラインハルトやムハマド、オーヴァ、フラウスといったフリージの誇る知将勇将達が集い勢いに乗る解放軍を討たんとしていた。同時に帝国の同盟国である南のトラキア王国に多額の報酬と引き換えに援軍を要請していた。これに対しトラキアは今一つ煮え切らないような態度を示し言を左右にしていた。解放軍、フリージ、トラキア、三社の思惑がレンスターで複雑に絡み合っていたのであった。
 
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