レインボークラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四百十六話
第四百十六話 味を再認識
美樹は信也との会話からだ、彼が自分の部屋に帰ってから牛乳を飲んでみた。そのうえでこう言った。
「美味しいわね」
「牛乳の味もですね」
「いいのですね」
「ええ、いいわ」
使い魔達にも答えた。
「普通に飲んでもね」
「味自体もいいことは事実ですね」
「信也さんが言われたことも」
「そうなのよね、最近ね」
美樹はここで自分を振り返ってこう言った。
「牛乳の味についてはね」
「思わなかった」
「そうなのですね」
「そうだったわ」
「しかしこうして飲んでみるとですか」
「やはり味もいいと」
「そのことがわかったわ」
美樹はしみじみとしてこうも言った。
「味も楽しまないとね」
「そもそもですね」
「牛乳を飲むとなると」
それこそというのだ。
「味も楽しまないとね」
「そうですね、折角飲むのなら」
「もう味も楽しまないといけないですね」
「他の食べもの、飲みもものそうですが」
「折角口にするのですから」
「さもないとね」
美樹はこれまでの自分を反省していた、それが言葉にも出ていた。
「飲む意味がないとまでは言わないけれど」
「楽しいものではないですね」
「それは事実ですね」
「味も楽しまないと」
反省しつつ言った。
「本当にそう思ったわ」
「ではこれからはですね」
「味も楽しまれますね」
「そうしていくわ」
こう言いつつまた一口飲んだ、そうして微笑んでジップとハリーに話した。
「やっぱり美味しいわ」
「それではこれからもですね」
「楽しまれて飲まれますね」
「そうしていくわね」
飲んだ後のコップは洗ってそうして収めてだった。美樹も自分の部屋に戻った。その時に信也の部屋の扉の前まで来て呟いた。
「信也にはいいこと教えてもらったわね」
「はい、流石は信也さんです」
「いいことを言われます」
「実はそうなのよね、この子はね」
扉の向こうにいる彼を見て微笑んでだ、美樹は自分の部屋に入った。
第四百十六話 完
2017・1・27
ページ上へ戻る