夢幻水滸伝
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第一話 夢の世界その六
「エカチェリーナ嬢は」
「それは確かやな」
「あの娘になると普段の生活想像出来んけどな」
「外国人用の寮におっても」
「どんな感じやろな」
「というか外国人の寮ってどんなんや」
「どやろな」
芥川の返事はここでは曖昧なものになっていた。
「わしもわからんわ」
「特に女の子のはやな」
「女の子のところは当然として」
「男の方もな」
「設備はええらしい」
このことは日本人用の寮も同じだ、尚寮生はどちらの寮に入りたいのか日本人でも外国人でも選択は出来る。明確にどちらかと定められてはいないのだ。
「けどな」
「どんなとこかはやな」
「知らんわ、僕も」
「僕もや」
「ましてやエカチェリーナ嬢はな」
席に座って静かにだ、海老フライ定食を食べる彼女を見て言った。
「どんなんやろな」
「威圧感あるけどええ娘やっちゅうし」
「そんなけったいな生活してないやろ」
芥川は彼女を見たまま中里に話した。
「瞥にな」
「まあそやろな」
「けどロシア人やから紅茶飲んでるやろ」
「それ誰でも思うで」
即座にだ、中里は芥川に言った。
「ほんまに」
「それもそやな」
「そんでエカチェリーナ嬢も八条大学に進学か」
「そやろな、こっちに留学してきてるんやし」
「そやねんな、ほな大学同じ学部かも知れんな」
「経済学部か」
「若しかしたらな」
中里もエカチェリーナを見つつ言った。
「その時は仲良くやれたらええな」
「まあ基本仲良く出来たらええ」
それに越したことはないとだ、芥川は中里に返した。
「国も人もな」
「そっちの方が無駄な力使わんしな」
「それがどうしても無理な相手もおるけどな」
「それでも基本そやな」
「仲良く出来たらそれでええわ」
「第一にはな」
こうした話をしながらだった、二人は昼食を食べそれぞれの午後の学園生活を過ごしてだった。その後で家に帰ってそちらの生活も楽しんだ。中里は寝る時にもうパジャマに着替えている母の陽子に言われた。
「しっかり寝なさいよ」
「夜ふかししないで」
「もう今日は勉強しないでしょ」
母は自分の夫の若い頃にそっくりな息子の顔を見つつ言った。
「だったらね」
「さっさとベッドに入って」
「寝なさい」
こう言うのだった。
「寝るのも受験のうちよ」
「睡眠不足は身体を壊すからだよな」
「そうよ」
その通りという返事だった。
「だからね」
「さっさとベッドに入ってか」
「寝なさい、いいわね」
「そうだよな、じゃあ寝てな」
「受験まで体調崩さない様にね」
「それじゃあそうするよ」
「ええ、お父さんももう寝たから」
陽子は今も同じベッドに寝る夫のことも話した。
「朝までね」
「そうするな」
中里は母のその言葉に頷いた、そしてだった。
実際に時分の寝巻きであるジャージ姿のままベッドに入った、それからはまさに一瞬でだった。
眠りに入った、するとだった。
目が覚めるとそこは森の中だった、緑の木々に囲まれた土の上に仰向けに寝ていた。そして起き上がると。
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