夢幻水滸伝
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第一話 夢の世界その五
「色気も恥じらいもないわ」
「そんなに凄いんか」
「女の子に幻想を持つとや」
それこそというのだ。
「人間後悔するで」
「現実を知れっちゅうことか」
「女子高もえぐいらしいしな」
「花園ちゃうんか」
「男の目がないからな」
女子高もというのだ、女姉妹と共に。
「匂いかてきつうて」
「匂いもかいな」
「ああ、けど商業科はちゃうらしい」
「そっちはかいな」
「あっちは少ない男の取り合いになるさかいな」
男にとってはいいことであろうか。
「もう目を引こうって必死になるさかいな」
「身だしなみとか仕草にもやな」
「気を使うからな」
「そういえば商業科奇麗な娘多いな」
「そやろ、特に名前忘れたけど二年と一年の姉妹で両方共可愛い姉妹おってな」
「付き合ってるんか?二人と」
「ちゃうわ、そんなええ話あるか」
姉妹二人と同時に付き合いなぞ、というのだ。
「というかわし彼女いない歴イコール年齢やぞ」
「僕もや」
「そんなハーレム出来たらええわ」
「二人でハーレムかい」
「両手に花か、とにかくや」
「ああ、とにかくやな」
「女の子に幻想持ったらあかん」
芥川は断言した。
「かといってもエカチェリーナ嬢は極端やがな」
「ああ、氷の女な」
「そや、あんな威圧感全開の娘もおらんけどな」
「名前のせいか?」
中里は彼女についてはこう述べた。
「それって」
「女帝エカチェリーナな」
「それのせいか?」
「そんなん言うたらロシアのエカチェリーナさん全員あんなんやぞ」
「ないか」
「ないない、それに噂したらや」
ふとだ、芥川が彼から見て右手を見るとだった。そこに銀髪を腰までストレートで伸ばしたアイスブルーの布ながの瞳の少女が歩いていた。
顔は蒼白と言っていいまでに白く顎は鋭角だ。鼻は長く睫毛は長い。髪の毛と同じ色の眉は細く奇麗なカーブだ。前髪は切り揃えている。
背は一六〇位で然程高くない。青いブレザーに白のくるぶしまである長い制服のスカートを穿いている。ブラウスは白でネクタイは緑だ。
表情はなく何処か近寄り難い雰囲気を醸し出している、二人が話している通り確かに威圧感がある。その彼女を見てだ、芥川はまた言った。
「本人おるな」
「相変わらず威圧感あるな」
「奇麗やけどな」
「氷の天使って仇名あったな」
「ああ、けれどあれでな」
「あれで?」
「話したら結構ええ娘らしいで」
芥川は彼女、エカチェリーナ=イヴァノヴァについてこうも話した。
「面倒見がよくて気がついて」
「そうなんかいな」
「温厚な性格らしいわ」
「そうなんかいな」
「部活でも部長さんで面倒見がええらしい」
「合唱部やったか?」
「確かな。ピアノ部の一杉ちゃんが言うてたわ」
彼女から聞いた話だというのだ。
「ええ娘って言うてたわ」
「外見や雰囲気とはちゃうか」
「そや、ロシア人気質らしいで」
「ロシア気質なあ」
「うちにもロシア人多いけどな」
「結構おるな、確かに」
「その中でも目立ってるけれどな」
見ればエカチェリーナはその手にプラスチックの盆を持っている、その上には海老フライ定食がある。二人はその定食も見ている。
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