| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

54部分:雷帝その七


雷帝その七

「私はアルヴィス皇帝に憧れ軍人となりました。しかし近頃の帝国のやり方は目に余ります。最早帝国に正義はありません。・・・・・・それに私は王女の御心に感激致しました。是非お供させて下さい」
「いいの?私なんかと一緒で・・・・・・」
「勿論です」
「有り難う、本当に有り難う・・・・・・」
 リンダは涙を流しながら小さい体を思い切り伸ばしてアマルダを抱き締めた。それを隣で見ているアミッドは妹が解放軍に参加した嬉しさと妹が自分を抱擁してくれなかった寂しさに苦笑いした。
 リンダとアマルダの解放軍への参加によりメルゲンの戦いは幕を降ろした。シアルフィとフリージの戦いはまずはシアルフィの勝利となった。解放軍十万、フリージ軍六万の兵力が参加したこの会戦は解放軍二千五百、フリージ軍七千五百の被害であった。敗戦にもかかわらずフリージ軍の被害の少なさはイシュトーの優れた指揮の賜物だった。負傷したオルエン、フレッド両将軍は傷を治療されたが解放軍への参加を拒み捕虜扱いとなった。解放軍の兵力は十五万となり勢いは更に高まった。
「オイフェ、いよいよレンスター解放に取り掛かれるね」
 セリスは再編成と補給を整え出撃準備を進める軍を見ながらオイフェに言った。
「はい。アルスターはまだ兵を集結させている状況と聞きます。今急襲すれば絶対に勝てます」
「よし、準備が出来次第すぐに出陣だ」
 その時二人へディジーが駆け寄って来た。
「あのお、セリス様、オイフェ様」
「どうしたの?」
「あたしの知り合いが来てセリス様に御会いしたいって言ってるんですけど」
「知り合い?」
「はい、この人達」
 ディジーが連れて来たのは三人の若い男女だった。
 一人は青い髪と瞳の爽やかな顔立ちの男だった。全体的にスラリとしているが身体は引き締まっている。背は普通位か。褐色の上着に深い草色のズボンと緑のブーツ、こげ茶のチョッキを着ている。
 二人目は長い灰色の髪と細く青い瞳を持つ男である。何処か暗い感じがする。青い上着と白のズボン、腰には大きな剣を下げている。
 三人目は短めの緑の髪と大きな緑の瞳を持つ小柄な可愛らしい少女である。オレンジの上着に同じ色の半ズボン、肩には紫の布が掛けられている。
「この人達は?」
「うん、ターラ近辺で義賊をやってる『ダンディライオン』の人達なの。この人が頭目のパー・・・・・・」
「あっ、手前リフィスじゃねえか!最近噂を聞かねえと思ったらこんな所にいたのか!」
 ディジーに紹介されようとしていた青髪の男がサフィに纏わりつきながらこちらへ来たリフィスを見るなり声をあげた。
「げっパーン、手前どうしてここに・・・・・・」
「あっ、お姉ちゃん!」
 緑髪の女の子がサフィに駆け寄って来た。
「ティナ、どうして貴女が・・・・・・!?」
「うんあたしね、お姉ちゃんがターラ出た後寂しいからお姉ちゃん追っかけてターラを出たんだ。けれど途中で悪い奴等に取り囲まれちゃったの。その時ここにいるパーンさんとトルードさんに助けてもらって。二人共とっても強いんだから」
 二人の側では灰色の髪の男トルードが無言で立ちパーンとリフィスが何やら言い合っている。
「あの、ディジー」
「はい」
 セリスはその場に多少気負されながらも改めてディジーに問うた。
「もう一度聞くけどこの人達は一体・・・・・・」
「ターラの周りで悪い奴等や帝国相手に盗賊やってる『ダンディライオン』の人達です。今リフィスさんと再会の喜びを分かち合っているのがパーンさん、あそこに立っているのがトルードさん、そしてサフィさんの妹さんがティナちゃんです」
「・・・・・・そう。ところでそのダンディライオンの人達が僕達に何の用かな」
「え〜〜と、それは・・・・・・。あっ、パーンさん、セリス様が呼んでますよ」
「ん!?」
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧