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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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38部分:神剣その八


神剣その八

「えーーっと、僕に会いたい人ってのは?」
「あ、セリス様」
 マリータが振り向いた方をパティも素早く振り向いた。そしてセリスも見るなり飛び上がった。
「わーーーい、、本物のセリス様だあ!」
「えっ!?」
 一瞬戸惑うセリス。
「噂で聞くよりずっとお奇麗、女の子みたい!あっ、あたしパティ、そこにいる相棒のディジーと義賊やってます、義賊っていうのは悪い金持ちや貴族からお金や財宝を頂戴する正義の盗賊でして・・・」
「ちょちょっとパティ、シャナン様の事忘れてるわよ」
 ディジーが突っ込む。
「あ、そうそう。あたし達イード城の前でシャナン様にお会いして」
「シャナンに!?」
 セリスの顔色が変わった。
「はい。それであたしが悪い盗賊からシャナン様にお渡しする為に保管したバルムンクをお渡ししたら悪い奴等がぞろぞろ出て来て・・・・・・」
「急ごう!」
 セリスはパティの話を最後まで聞かずイード城へ向けて走り出した。他の者達がそれに続く。
「セリス様って足速いのね」
「軽口叩いてる場合じゃないかも」
 盗賊二人組もそれに続いた。
 セリス達がイード砂漠の城門の前に着いた時そこには誰もいなかった。ただ賊のものと思われる屍が累々と横たわっているだけだった。 
「シャナン・・・・・・」
 セリスは呟いた。その時城門から一人の男が現われた。 
「シャナン!」
 それはシャナンだった。セリスの顔が見る見る明るいものになっていく。
「久し振りだな、セリス。来てく・・・・・・」
 シャナンが言い終わる間も無くセリスはシャナンに抱き付いていた。
「無事だったんだね、良かった。本当に良かったよ」
「セリス・・・・・・」
 シャナンも笑っていた。二人はひしと抱き締め合った。
「暫く見ないうちに成長したな。イザークの解放・・・よくぞやってくれた」
「御免、シャナンが戻って来るまで待てなかった。けどこれからは一緒に戦おうよ」
「勿論だ。私は今までこの日を待ちわびていたのだからな」
「有り難う、本当に有り難う」
 二人は離れた。セリスはイード城の城門を見た。
「ところで盗賊は・・・」
「ああ、全員私が成敗した」
「よし、じゃあ一刻も早くオイフェ達と合流しよう。皆シャナンが来るのを楽しみにしてるよ」
「ふふふ、私も人気者になったな」
 シャナンはセリスと共に歩き始めた。ラクチェやスカサハ達もやって来た。
「私の替わりにセリスを護ってくれたようだな、礼を言うぞ」
「いや、お礼なんてそんな・・・・・・」 
「俺達ただ夢中で剣を振り回していただけで・・・・・・」
 シャナンは赤面する二人に優しい微笑で返した。 
「最初はそうだっただろう。だが今は違う。見違えるまでになったな」
「そ、そうかな・・・・・・」
「そうだとも。成長したな、二人共」
「ま、まあ俺達だけじゃないですよ。皆かなり強くなったし新しく参加した奴も強いのばっかりですし」
「新入りか。楽しみだな」
 シャナンを囲んで和気藹々と話すセリス達だがそのすぐ後ろでレヴィンはイザーク城を疑念の目で見ていた。
「・・・・・・・・・」
「行こう、レヴィン」
「あ、ああ」
 イードの『魔物』を掃討した解放軍は副盟主シャナンの帰還、盗賊二人の加入等の収穫を得て再びメルゲンへ足を進めた。夜イードの南で天幕を張り解放軍の将兵達は疲れた身体を休めていた。その天幕の一つにレヴィンはいた。夜には急激に冷え込む砂漠の気候を考え毛布を数枚重ね着している。
「やはり気になる・・・・・・」
 レヴィンは毛布の中で昼のイード城の事を考えていた。あの城からは微かであるが異様な邪気が感じられたのだ。
「行くか」
 起きた。そしてワープの杖を握り外へ出た。だが彼は気付いていなかった。ワープの杖による緑の光に包まれる時一人見ている者がいた事を。

 
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