ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
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29部分:南へその五
南へその五
「だって皆さんお互いに楽しんでやってらっしゃいますから。危険な筈がありませんわ」
「うっ・・・・・・」
「ラクチェさん達だって本気でレスターさん達を斬るおつもりではなかったのでしょう?」
「そ、そりゃあまあ・・・・・・」
「確かに頭にきてたけど」
「皆さん本当はお優しい方ばかりです。そんな方々が本気で仲間を傷付ける筈ありません」
「う、うん・・・・・・」
ユリアの前に一同喧騒から醒め静かになった。小柄で華奢なユリアがまるで慈愛の女神の様に見えた。
「いいかな」
忘れられかけていた男が輪に入って来た。そして皆に何やら話始めた。
「しかし我が軍の指揮官達が総勢で騒ぎを起こすとは・・・・・・」
城の大広間でその一同を前にオイフェは目くじらを立てている。
「まあいいじゃないか、オイフェ。幸い誰も怪我はしていないんだし」
「セリス様、それがお甘いというのです。大体この者達ときたら休みの日は闘技場で暴れて大酒を飲み食べ散らかす始末、指揮官達がこれではしめしがつきません」
「けれど別に民衆に迷惑をかけているわけではないんだし良いじゃないか。たまには息抜きも必要だよ」
「・・・・・・解かりました。セリス様がそう仰るのなら・・・・・・。さて卿等」
オイフェは改めて一同へ向き直った。
「今回はセリス様の寛大な御心に免じて不問とする。だが今後このような事は起こる事が無いよう」
オイフェは彼にしては非常に短い小言で終わらせた。次はセリスが一同に聞いた。
「ところで新たに我が軍に入りたいというのは誰だい?」
「はい、こちらに」
オーシンとハルヴァンに伴われ闘技場で鮮やかな勝利を収めた男がセリスの前に出て来た。
「セイラムと申します」
男は左手を胸に置き片膝を地に着け静かに頭を垂れた。
「宜しく。僕はセリス。我が軍に参加してくれるそうだけれど」
「はい」
「じゃあ立って」
「え・・・!?」
キョトンとするセイラムをセリスはすぐに立たせた。
「君の参加を歓迎するよ。これから一緒に帝国の圧政から皆を解放しよう」
「はい・・・」
イザークやレンスターでは考えられぬおおらかな若き盟主の応対にセイラムは面食らった。同時に好意も持つようになった。
「さてオイフェ、新しい仲間も入り皆も揃っている事だし今後の方針について何か考えを述べてくれ」
「そうですね、訓練も軍の再編成も済みましたしとりあえずはシャナン様の御帰還をお待ちして・・・」
「悪いがそんな時間は無いぞ」
レヴィンとガルザスが一組の男女を連れて大広間に入って来た。先程の騎士達である。
「この人達は・・・」
「レンスターから来た騎士だ。名は・・・」
「グレイドです」
「セルフィナです」
二人はそれぞれ名を名乗りセリスに敬礼をした。
「セリス公子」
くすんだ金髪の男グレイドがセリスに話しはじめた。
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