ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
257部分:聖戦その二
聖戦その二
しかし解放軍の諸将は一歩一歩進んでいった。この中にも獣や魔物、そして暗黒教団の者達がいた。しかしセリス達はそれ等を少しずつ倒していった。
最後に天主が残った。バーハラ宮城の象徴とも言える巨大な天主である。ここにユリウスがいるのは明らかであった。
中に入る。そこは大広間であった。
向こう側に階段がある。しかしその前に彼等がいた。
「やはり甦っていたか」
レヴィンが顔を顰め呟いた。古に伝わる暗黒神の使徒達。彼等がそこにいた。
そしてその中心にいる十二人の妖しげな気を放つ者達がいた。
「十二魔将か」
「あれが・・・・・・」
皆レヴィンの言葉を聞いて息を飲んだ。
かって十二魔将の乱があった。暗黒教団に魂を売ったグランベル共和国の十二人の将達が共和国に対し反乱を起こした戦乱である。
彼等は共和国の元老院を突如襲撃し元老院議員達を殆ど殺してしまった。そして首都を占拠し多くの市民を虐殺したのである。これにより首都は機能不能に陥った。
かねてよりガレの不審な行動に疑念を持っていた執政官オルバスはこの時アグストリアにてガレの仕業と見られる虐殺事件について自ら出向き調査していた。だがこの反乱に驚いた彼は急いでグランベルに戻った。
バーハラに戻った彼が見たものは破壊し尽くされた首都であった。建物は跡形もなく壊され市民達は皆無残な屍となって横たわり死臭が満ちていた。そして野良犬が人の首を咥え烏が死肉をついばんでいた。共和国の栄華を象徴する首都バーハラはこうして灰塵に帰したのである。
以後暗黒教団の勢力は強大化していく。そして遂にはロプト帝国を建国しグランベル全土をその暗黒の帳で覆ったのである。十二魔将は皇帝ガレの忠実な腹心であり彼等の行くところ常に死が共にあった。
彼等はかって聖戦の時にも姿を現わした。ガレがその魂を己のそれと同じく代々受け継がせていたのだ。しかし聖戦士達により打ち破られ燃え盛る魔城の中ガレと共に滅んだ筈であった。
「だが暗黒神の復活と共に再び現われたか。使徒達と同じように」
レヴィンは彼等を見て言った。
「気をつけろ。この連中から発せられる妖気は尋常じゃない」
一同その言葉に対し頷いた。
双方同時に前に出た。そして激しい死闘が始まった。
「ここは私達に任せて下さい」
リーフがセリスに対して言った。
「しかし・・・・・・」
セリスはそれを聞いて戸惑った。
「数は互角だ、我々だけでも充分だ」
「そうだ、皇子はユリウス皇子の相手を頼む」
アレスとブリアンが言った。皆も剣や魔法を撃ちながらそれに頷く。
「セリス行くんだ、皆の気持ちを無駄にするな」
シャナンが言った。セリスもそれで首を縦に振った。
「よし、皆ここを頼む!」
「おお!」
セリスは階段を登った。ユリアとレヴィンがそれに続く。
大広間から激しい戦いの音が聞こえる。セリスはそれを聞いて振り返りたかった。
しかし振り返らなかった。そして螺旋状の階段を登っていく。
ビグル達が迫る。しかしそれを切り落とし先へ進む。
遂に天主の屋上へと繋がる二つの部屋のうちの一つに着いた。三人は部屋に入るとサッと身構えた。
だが部屋の中には何も無く誰もいなかった。空洞の様な部屋だった。
「!?」
三人がいぶかしんだその時であった。部屋の中央に黒い渦が現われた。
そこから頭に一本の頭髪も無い全身から邪悪な瘴気を放つ男が現われた。漆黒の法衣を着ている。
「貴方は・・・・・・!」
ユリアは彼の姿を見て叫んだ。かってバーハラの城においてマンフロイと密談していたあの男である。
「フフフ、よく覚えていたな」
彼はユリアに対して笑いながら言った。
ページ上へ戻る