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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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25部分:南へその一


南へその一

                       南へ
 リボー会戦の勝利により遂にイザーク全土が解放された。ダナン王の圧政に苦しめられていたイザークは歓喜の声に包まれた。とりわけリボー城では解放軍入城の時からお祭り騒ぎとなりどの者も連日連夜宴の中にいた。そんなリボー城に一組の男女がやって来た。
「やっと着いたわね。どうやらイザークが解放されたというのは本当だったみたい」
 豊かな群青色の髪に同じ色の瞳を持つ細面の美女である。すらりとした身体を白い軍服と赤いズボンで覆っている。その上に白い胸当てを着け裏地が青いマントを羽織っている。ブーツは赤である。
「ああ。それにしても荒波のレンスター湾、よく渡れたな」
 美女の隣のくすんだ金髪に茶がかった鳶色の瞳を持つ引き締まった男らしい顔付きの男が応えた。年齢は女より十程上のようだ。黒の軍服とズボンの上に紫のマントとブーツを着けている。
「ええ。これもノヴァ神の思し召しね」
 口元に優美な笑みを浮かべて女は言った。
「ああ、本当にな。さあセリス公子の下へ参ろう」
「ええ」
 二人はリボー城へ歩いていった。
−リボー城ー
 戦いに勝利しリボー城に入城した解放軍はリボーに拠点を移し軍の再編成や武具の調達、訓練等を行っていた。そしてその中には資金調達を兼ね闘技場で闘う者達もいた。
「勝負あり!」
 闘技場のウォリアーが吹き飛ばされ担架で運ばれていく。それを見てガルザスは銀の大剣を静かに鞘に収める。
「ガルザスさん強いわねえ。もう三十九連勝よ」
 選手用控え室のすぐ近くの席でラナは感嘆の声をあげた。
「あら、レヴィンさんは四十二連勝よ」
 隣の席のマナが突っ込みを入れる。
「れどレヴィンさんにはあのフォルセティがあるじゃない。十二神器使えばそりゃあ」
「使ってないわよ。エルウィンドだけよ」
「嘘」
「本当よ。何でもフォルセティは人にあげちゃったんだって」
「ふうん、何か勿体無いわね」
「けど強かったわよ。それも無傷だったしね」
「やっぱり前の戦いからの人は違うわね。ところで他の人達は?」
「皆二十勝以上はいってるわね。何か皆どんどん強くなっていくね」
「まあマーティさんとかヨハンさんは怪我も多かったけどね。勝ってたけど」
 二人がそんな話をしているうちにガルザスはまた一人倒していた。
「これでかすり傷無しの四十勝、シャナン様とどっちが凄いかな」
「シャナン様じゃないの?」
「かなあ、やっぱり」
「シャナン様ってどなたですか?」
 二人の後ろからユリアが頭を出してきた。
「あら、貴女のとこはもう終わり?」
 ラナがユリアの方を向き声をかけた。
「はい。皆さんとても強くて」
 ユリアはにこりと微笑みながら答えた。
「じゃあサフィさんとことスルーフさんとこも終わってるし後はここだけか」
「私のことは最初に終わちゃったしね」
 マナがそう言った瞬間にガルザスは四十一人目を倒していた。
「本当に強いわね」
「相手が可哀想」
「ところでシャナン様って・・・」
「あ、御免御免、忘れてた。シャナン様っていうのはイザークの王子様で私達解放軍の副盟主。信じられない位強くて格好良い方なのよ」
「へえ、そうなんですか」
 ユリアはラナの言葉に少女のあどけない笑みを浮かべた。
「ところで」
 ユリアは話を変えてきた。
「ガルザスさんの動きってマリータさんに似ていませんか?」
 またもや相手を一瞬で倒したガルザスを観つつユリアはポツリと言った。
「えっ、そうかなあ」
 マナが少し首をかしげた。
「はい、何処となく」
「うーーん、言われてみればそうかも」
 その時マナはユリアが持っている二冊の書物を見た。
「あれ、その書は」
「はい、リザイアとオーラの書です。リザイアはヨハンさんから、オーラはヨハルヴァさんから頂きました」
「いつもラクチェ、ラドネイにべったりくっついてるあの二人から?」
「はい、ラクチェさん達は魔法がお使い出来ないというので光の魔法を使える私に是非、と」
「ふうん、そうなの。私達からもらった杖も有るしユリアも結構物持ちね」
 三人の少女達が話している時別の三人の少女達が観客席を殺気をみなぎらせつつ歩いていた。
 
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