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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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248部分:裁かれるべき者その三


裁かれるべき者その三

「解放軍に入った時、いやその前から何時か除こうと考えていた。母上の行いは非道に過ぎた」
「母上は貴方達のお母様や多くの人達を手にかけてきました。その報いは受けねばならないものでした」
「・・・・・・報いか」
 アーサーはそれを聞いて思った。叔父アルヴィスも報いを受けて滅んだ。そしてヒルダも。
「人の罪ってやつは決して消えないで何時か必ずその報いを受けるものなのかな」
「・・・・・・・・・」
 イシュトーもイシュタルもそれには答えられなかった。
 アーサーはそのまま無言で自軍の方へ向かっていった。イシュトー達もそれに続いた。
 こうしてフリージは解放軍の手に落ちた。フリージの者達は解放軍の到来と主の帰還を心から喜んだ。
 その歓喜の声はマンフロイが守るヴェルトマーにも伝わっていた。
「愚か者共が騒いでいるな」
 マンフロイはそれを聞いて言った。
「将に束の間の喜びですな」
 暗闇に包まれた部屋の中で翡翠の椅子に座しマンフロイと対面している男が言った。
 人食い鮫の肌のような青白い法衣を身に纏っている。ドス黒い肌に頭髪は一本も無い。猫の様な黄色い眼がその不気味さを一層際立たせている。
「全くじゃ。こちらの手の中にヘイムの血がある限り我等の栄華は変わらぬというのに」
 マンフロイは残忍な笑みを浮かべて言った。
「ユリウス様の前にはバルドの力などものの数ではない。他の戦士達の力もな」
「仰る通りです。このベルド、及ばずながらユリウス様の御力となり世界を暗黒で覆いましょう」
 ベルドと名乗ったその男は恭しい物腰で言った。
「うむ、そなたの力がこれから必要となる。頼りにしておるぞ」
 マンフロイはそれを聞いて言った。
「有り難きお言葉。ところで大司教、あのヘイムの娘は今何処に!?」
「・・・・・・見よ」
 マンフロイはサッと右手を上げた闇から影が現われた。
 腿の半ばまでの薄紫の丈の短い法衣と白いハイブーツの上から白がかった紫の長いローブを羽織った薄紫の長い髪を持つ小柄な少女である。
 幼なげながら整った顔立ちを雪の様に白い肌が際立たせている。だが何かが違う。
 瞳も紫でも青でもなかった。血の様に赤くそれでいて闇の様に黒い色だった。
 瞳に光が無い。まるで人形の様に感情が感じられない。ただ立っているだけである。
「ほう、これはこれは」
 ベルドがグッグッグッ、と獣の様な笑いを立てた。
「この娘をあの小僧と会わせてやる。どうじゃ、中々面白い催しであろう」
 マンフロイは満足気に笑った。
「二つの血が喰らい合う。その血を啜り我が暗黒神は永遠に生きられよう」
 二人の笑いが闇の中にくぐもり続けた。その笑いはバーハラを包囲しヴェルトマーへ向かう解放軍を嘲笑うかの様であった。
 
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