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じゃんじゃん火

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第二章

 実際に彼は十市の城跡の方に言ってほいほいと言ってみた、すると。
 火の玉が二つ飛んで来た、彼はそれを見て実際に出たと喜んだ。そしてすぐにだった。 
 じゃんじゃんと言った、すると火は消えた。これで満足してだった。
 彼は家に帰って女房にこのことを話した、そしてこうも言った。
「何でもなかったわ」
「ほんまに出たんやな」
「これがな」
「それであんた何もなかったん」
「この通りや」
 女房に自分自身を指差して笑って言った。
「何もないわ」
「ほんまに?」
「そやから何かなってるか?」
「見る限り何もやけど」
「火を見ても何もなかったで」
「襲われることもか」
「ほいほいの後すぐにじゃんじゃんって言うたさかいな」
 そう言って出させてそしてすぐに消させたからだというのだ。
「何もなかったわ」
「そやねんか」
「そや、平気やったわ」
「これから何もないとええけど」
「ははは、あってたまるかいな」
 五兵衛は笑ってだ、女房に応えた。確かに彼はこの時は何もなかったが。 
 次の日から三日三晩に渡ってだ、五兵衛は非常に高い熱が出て床から出られなかった。医者が診てもわからないと言われ。
 結局三日三晩の間寝込んだ、そして四日目でやっと起き上がった時にずっと看病していたおかねに言われた。
「祟りちゃうか」
「じゃんじゃん火のか」
「それちゃうか?」
「まさかって思うけどな」
 床からやっと出てだ、五兵衛は女房に応えた。
「それかもな」
「そやで、そやからな」
「お化けにはか」
「迂闊に近寄ったりせんことちゃう?」
「そうかもな」
「それでやけど」
 おかねは亭主にあらためて言った。
「このこともあるし」
「ええと、そのお婆さんにか」
「会って話を聞いてみたらどやろ」
 こう言うのだった。
「そうしたら」
「そやな」
 少し考えてだ、五兵衛はおかねに応えた。 
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