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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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22部分:愚王の末路その五


愚王の末路その五

 騎兵隊と呼応して天馬達も急降下して来る。竜騎兵達もいた。
 ダナン王の誇った親衛隊は今や為す術も無く今まで自分達が行ってきた悪行を裁かれる罪人の集まりに過ぎなくなっていた。次々に倒れていく。
 その中にホプキンズがいた。オイフェは他の騎兵達を斬り倒しながら彼の方」へ突き進む。
「ホプキンズ!今までの悪行の報い思い知るがいい!」
「くっ!」 
 オイフェの剣がホプキンズの左肩から心の臓まで切り裂いた。剣を振る間も無かった。
 鮮血が間欠泉の如く噴き出す。それに構わずオイフェはホプキンズの首を刎ねた。首は天高く飛び上がりオイフェの右手がその髪を掴んだ。
「奸賊ホプキンズ、成敗したり!」
 解放軍の間から喚声が湧き上がる。オイフェは続けた。
「親衛隊は一人たりとも生かして帰すな!」
 所詮は王の名の下蛮行を繰り返すだけの連中である。解放軍の敵ではなかった。
 戦局は一方的な殺戮に等しいものとなっていた。親衛隊の将兵達は坂道を転がり落ちる様に逃げる。それを解放軍が火が点いた様に攻め立てる。親衛隊の後方には歩兵部隊が続いていたが彼等はその歩兵達の陣へ雪崩れ込んだ。
「どけ、道を開けろ!」
 親衛隊の兵士達が助かりたい一心で味方であるイザークの兵士達に毒の剣を振り回す。
「何という奴等だ」
 自分だけが助かりたいが為に味方に剣を振るう。その光景を見てディーンが一言漏らした。彼のいたトラキア軍は王の下強い団結心を持っており、仲間に剣を振るう事はおろか、見捨てる事さえ考えられぬ事であった。
「嫌な光景だな。生きてる資格が無えな」
 彼等を良く知るヨハルヴァでさえ不愉快さを露にしていた。平野に入った解放軍は騎兵隊と飛兵隊が左右に分かれた。中央には歩兵隊及び魔道部隊が押し寄せる。
 鎌ィ足と弓が同士討ちにより混乱しているイザーク軍へ向けて斉射された。多くの兵達が傷付き倒れたところへ歩兵達が切り込む。
 ハルヴァンが鋼で出来た大斧を右に左に振り回す。厚い鎧を何無く叩き割りイザーク兵達を血に染めていく。
 彼の隣ではオーシンが縦長になった斧頭を持つ変わった形の斧を振っている。プージという。あまり知られていないが扱い易くオーシンはそれを片手に軽々と闘っている。マーティは自分の身体程もある戦斧を敵兵の頭へ振り下ろす。兵士は兜ごと頭を両断された。
 彼等に増して力を振るう者がいた。ダグダである。数十キロはあろうかという鎚を丸太の様な両腕で右に左へと振るう。それを受けた兵士達は皆岩の直撃を喰らった様に潰れていった。
「どけどけえ!死にたくない奴は野郎は俺の前に出るんじゃねえ!」
 勇者の斧を両手に持ちヨハルヴァが突き進む。彼の周りで首が、腕が、胴が乱れ飛びさながら鬼神の如きである。
 戦局は解放軍に分があるのは誰が見ても明らかであった。親衛隊は最早殆どが討ち取られ、中には剣を向けた味方に返り討ちに遭っている者もいた。将兵達の中には投降する者も現われだしておりイザーク軍は壊滅寸前という有様であった。その中で軍を立て直そうと必死に奮闘する者もいた。
「怯むな!敵の数、多くはないぞ!」
 馬上で斧を振りスレッダー将軍は崩れていく自軍を懸命に叱咤激励し立て直そうとする。だが戦死する者、投降する者、傷付く者はイザーク軍の将兵ばかりであり解放軍に空と陸から暴風さながらの攻撃を受け続けていた。斧騎士団もその数を減らしていきスレッダーの前にも一騎の若い騎士が現われた。
「敵将とお見受けした、勝負!」
 デルムッドである。左手で馬の手綱を握り、右手に銀の大剣を持っている。既に幾人も倒したのであろう、剣は血に染まっている。
「面白い、我が名はスレッダー。この名にかけ卿の誘い受けよう!」
「有難い、我は解放軍の騎士デルムッド、参る!」
「デルムッドか、覚えておくぞ!」
 デルムッドの大剣とスレッダーの斧が撃ち合った。十合、二十合と撃ち合わされたがやがてスレッダーの斧の動きが鈍くなってきた。それを逃さずデルムッドは剣を一閃させた。
 
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