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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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126部分:雨の中でその三


雨の中でその三

 門は暫く何も起こらなかった。やがて門がゆっくりと開いた。
「どうだい?」
 得意げに笑みを浮かべる。
「凄いな」
「まあ誰でも何かしら取り柄があるからね」
「・・・・・・どういう意味だよ」
 ラクチェの嫌味もそこそこに一行は城内に侵入した。市街地を抜け内城に入り王を護る近衛兵達が阻止せんと出て来た。
「何っ、敵が城内にまで!?」
 侵入者来たる、の報はすぐにブルーム王にも達した。
「して数は!?」
 王は問うた。
「およそ二千程」
「二千・・・・・・城内の兵とほぼ互角か」
 王は腕組みをした。暫し瞑目していたがやがて目を開き指示を出した。
「要所に兵を送れ、特に武器庫と宝物庫、書庫は何があろうと死守でよ!」
「えっ、書庫もですか!?」
 騎士は問うた。
「そうだ、何か不服か?」
「いえ、了解しました」 
 騎士は慌てて敬礼をして引き下がった。王はその後ろ姿を見ながら書庫にあるものについて思案を巡らせていた。
(あれだけは奴等に取られてはならぬ・・・・・・・)
 窓を見た。雨が窓を打ち付けている。
(もしあれが手に入れられれば我等も帝国も破滅してしまう・・・・・・)
 怒号と金属の撃ち合う音、断末魔の悲鳴が聞こえて来る。城内においても激しい戦いが幕を開けた。
 城外の戦闘は解放軍圧倒的有利となっていた。フリージ軍の将兵達は次々に地に伏し武器を棄て投降する者が現われていた。
 将同士による一騎打ちも勝敗が決しだしていた。まずはアーサー、アミッド、アズベルとヴァンパ、フェトラ、エリウの闘いである。
「くそっ、このままじゃらちが明かない」
 ヴァンパと勝負を続けるアーサーが炎を避け構えを取りながら言った。
「どうします?今度トライアングルアタックが来たら危ないですよ」
 アーサーの横でフェトラのエルウィンドを相殺しつつアズベルが二人に対し小声で言った。
「いや、チャンスだ」
 アミッドがアズベルの言葉を落ち着き払って否定した。
「どういう事だ?」
「属性だ」
 問い掛けたアーサーに言った。
「・・・・・・・・・」
「解かったな」
「ああ」
「はい」
 二人は頷いた。三姉妹が距離をとった。
「来るな」
 三人は互いに目で合図し合った。三姉妹が一斉に構えを取った。
「今だ!」
 三人は横に跳び相手を変えた。アーサーはフェトラ、アミッドはヴァンパに、アズベルはエリウの前に来た。
「むぅっ!?」
 三人は既に手に魔法を宿らせている。だが三姉妹は躊躇わずトライアングルアタックを仕掛けた。その時だった。
「ボルガノン!」
「トローン!」
「トルネード!」
 彼等がそれぞれの最も得意とする属性の最高位の魔法をそれぞれ放った。
 フェトラの風にアーサーの炎が、ヴァンパの炎にアミッドの雷が、エリウの雷にアズベルの風が、轟音を立てぶつかり合った。三姉妹の魔法は三人のそれに押され潰された。彼女達は爆発の中吹き飛ばされた。
「バ、馬鹿な、我等の奥義を破るとは・・・・・・」
 三姉妹は瀕死の重傷を受けながらもかろうじて上体を起こし呻く様に言った。
「魔法の属性を衝いたのさ。そうすれば如何に強力な魔法が来ても勝機はある」
「そ、そうか・・・・・・見事・・・・・・」
 三姉妹はアミッドの言葉に満足そうに頷き息絶えた。三人は会心の笑みで互いを見やった。
「喰らえっ!」
 オーヴァがデルムッドにトローンを至近でぶつけようと右手を振りかざした。大型の雷球が右拳を包む。一瞬隙が生じる。
 デルムッドはその隙を逃さなかった。オーヴァの右手をきり落とした。剣を返し横に払う。胸を一閃した。
 オーヴァは自分の右手と同時に地に落ちた。その喉にデルムッドは止めの短剣を投げた。
 
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