提督はBarにいる・外伝
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提督はBarにいる×zero-45編・その3
「はいお待ち、『鉄板ナポリタン』だよ。お好みでタバスコとチーズかけて、卵を絡めて食べてくれ」
「「いただきます」」
両手を合わせて挨拶した2人は、フォーク片手に熱々のナポリタンに挑みかかる。
「「熱っつ!」」
……が、早々に返り討ちに遭ったらしい。俺は苦笑いしながら氷の入ったグラスにドクターペッパーを注いで出してやる(時雨には氷入りのグラスのみ)。
「すんません……」
吉野中佐は申し訳なさそうに軽く頭を下げ、ドクペをゴクゴクと喉を鳴らして飲み干す。
「ゲェプ」
「行儀悪いよ、提督……」
まぁ、あの強い炭酸をイッキ飲みしたらゲップも出るわな。さて、お次も最近は定番と化してきたカルボナーラといこう。しかし家庭でカルボナーラを作ろうとすると、卵が固まってスクランブルエッグのようになってしまったり、上手くクリーム状にならなかったりと案外失敗が多い。そこで今回は本場イタリアの牛乳や生クリームを使わない、失敗しにくいカルボナーラを紹介しよう。
《失敗少な目!本格派カルボナーラ》
・全卵:1個
・粉チーズ:大さじ2以上
・オリーブオイル:大さじ2
・ベーコン:好きなだけ
・塩、黒胡椒:適量
・パスタ:100g(スパゲティでもショートパスタでも)
まずはパスタを茹でる為のお湯を沸かす。パスタ100gに対して1リットル以上の水を用意し、沸騰したら大さじ1.5の塩を入れる。塩を入れたらパスタを茹でていく。
次に要の卵ソースの素を作る。金属製のボウルに、常温に戻しておいた卵と粉チーズを最低大さじ2以上入れる。多く入れれば入れただけ、濃厚なソースになるぞ。
軽くチーズと卵を混ぜたら、パスタを茹でているお湯で湯煎にかける。火を通し過ぎるとソースにならないので、よくかき混ぜながらチーズを溶かしていく。粉チーズが溶けてとろみが付いてきたらOKだ。
フライパンにオリーブオイルを熱し、細切りにしたベーコンを炒めていく。あまり焼きすぎると仕上がりの見た目が宜しくないので、軽く焼き目が付く位にしておく。
パスタは袋に書かれている茹で時間よりも1~2分短めに茹で上げて、ベーコンを炒めているフライパンに加える。パスタの茹で汁をお玉半分(大さじ4~5位?)加えて、菜箸等でよくかき混ぜながら炒め合わせていく。
パスタの茹で汁とオリーブオイルが反応して乳化し、白っぽくなってとろみが付いてきたら火を止め、卵ソースに加えて和える。まだとろみが足りないようなら更に湯煎するか、短時間レンジでチンしよう。
味見して塩加減を調整してから皿に盛り付け、黒胡椒を散らせば完成だ。
「ハイよ、今度は『カルボナーラ』だ」
「あれ、ソースがあまり白くないよ?」
時雨が首を傾げている。
「あぁ、そりゃ牛乳や生クリームを使ってねぇからな。牛乳使ったあのクリーミーなカルボナーラは、日本人の魔改造の結果だ」
昔は卵とチーズだけの濃厚すぎる味が受け入れられなかった為に、牛乳等でまろやかな味に仕上げたらしい。しかし今のご時世、こっちの本格的なソースの方がウケがいい。
「そうなんだ、じゃあこっちが本場のカルボナーラの味なんだね」
「まぁ、それに近い物とは言えるかな」
「ねぇねぇマスター」
「ん?なんだい」
カルボナーラをペロリと平らげた時雨が此方に声をかけてきた。
「和風のパスタも作れるのかな?」
「そりゃあね。レパートリーにあるよ」
さっきのカルボナーラの話もそうだが、日本人は他国の料理を自分達好みにアレンジするのが大得意だ。その変化は最早アレンジの域を超え、魔改造と呼べるレベルだ。
「じゃあ、たらこや明太子を使わない和風パスタが食べたいな」
おっと、定番のたらこ・明太子を使わない和風パスタか。時雨の眼を見ると、少し悪戯っぽい笑みが浮かんでいるように見える……成る程、俺への挑戦状ってトコか。
「任せなさい、たらこを使わない和風パスタ、3連発だ」
《混ぜるだけ!納豆パスタ》
・スパゲッティ:100g
・長ネギ:5cm分
・納豆:1パック
・味噌:小さじ1
・めんつゆ:大さじ1~
・オリーブオイル:小さじ1
・刻み海苔:適量
まずはパスタを茹でる為のお湯を沸かす。その間に長ネギを微塵切りにし、納豆、味噌、めんつゆ、納豆のタレと一緒にして混ぜておく。めんつゆで味の濃さを調整するので量はお好みで。わさびか辛子を少々入れてもピリッとして美味いぞ。
お湯が沸騰したら塩を入れ、パスタを時間通りに茹でる。茹で上がったらオリーブオイルを回しかけて全体に馴染ませる。
パスタと納豆を和えて盛り付け、仕上げに刻み海苔を散らせば完成だ。
《さっぱり!梅ささみパスタ》
・パスタ:100g
・鶏ささみ:2本
・梅干し:3個
・大葉:適量
・めんつゆ:大さじ1
・オリーブオイル:大さじ1
・ほんだし(カツオ顆粒だし):小さじ1/2
・白ごま:適量
パスタを茹でるお湯を沸かしつつ、材料の下準備。ささみはレンジでチンして熱を通し、食べやすい大きさにほぐしていく。臭みが気になるなら酒を振ってチンしよう。茹でてもいいんだが、茹でるとお湯にささみの水気が逃げ出してパサつき易くなるのでレンジでチンした方がいいぞ。
梅干しの種を取り除き、包丁で梅肉を叩いてペースト状にする。大葉は細切りに。
お湯が沸いたらパスタを茹でる。味付けが濃い目なので塩は少な目、あるいは入れなくてもいいかもしれん。茹で時間は袋に書かれた通りに。
ボウルに梅干しペーストの2/3とめんつゆ、オリーブオイル、ほんだし、白ごまを加えて混ぜる。
パスタが茹で上がったらよく湯切りして、作っておいた梅ソースにほぐしたささみと一緒に加えて和える。
皿に盛り付け、残しておいた梅ペーストと大葉を飾れば完成。ささみと大葉をツナとかいわれ大根に変えても更にさっぱりして食べられるぞ。
《意外なマッチング!?海苔のミルクソースパスタ》
・パスタ:100g
・水:100cc
・味付海苔:10枚
・岩のりの佃煮:大さじ1
・バター:10g
・牛乳:50cc
お次はご飯のお供、味付海苔と海苔の佃煮を使ったパスタだ。まずはパスタを茹でる。塩を入れて時間通りに茹で上げよう。
パスタを茹でている間に海苔のミルクソースを作る。フライパンに水100ccを沸騰させ、そこに味付海苔をちぎりながら加えて、味付海苔がふやけてきたら佃煮を加える。
かき混ぜながら海苔を溶かしつつ、バターと牛乳を加えて更にかき混ぜる。煮立たせ過ぎて水気を飛ばし過ぎないように注意しよう。
茹で上がったパスタを加えて絡めたら、皿に盛り付けて完成。仕上げに青海苔を散らしても香りがよくなるぞ。
「はいお待ち、『納豆パスタ』に『梅ささみパスタ』、とどめの『海苔ミルクパスタ』だ」
「「えぇ~……」」
二人はあからさまに難色を示している。まぁ、先入観を持っちゃうと食べにくいよなぁコレは。
「でもな、お前らの異常な嗜好よりはマシだと思うぞ?」
これは青葉から仕入れた情報だったのだが、特務二課に所属する連中は、課長の影響なのかなんというかこう……特殊な味覚の嗜好を持った艦娘が多い。ドクペを愛する課長にはじまり、サスケに冷やしあめ、ギャラクシーにサルミアッキ、メッコールetc……詳しくは明言を避けるが、人間の食物なのか怪しさすら感じる味をこよなく愛する変態が集まっているのだ。そんな特殊性癖(?)の持ち主達に見た目で難色を示されるのはいただけない。
「まぁとりあえず食ってみろ。不味かったら返品してくれて構わん」
俺がそう言うと、『そこまで言うなら…』と言った感じでおそるおそるパスタに手を付けた。一口、また一口と食べ進めていくと、食べるスピードが上がっていく。食べ方を見ていると吉野中佐は海苔のパスタ、時雨は梅のパスタが気に入ったようだ。
「な?見た目で判断するのはいかんって事よ」
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