八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百話 旅行の前にその十二
「楽しみです、本当に」
「では」
「はい、それなら」
「ご実家でも楽しんできて下さい」
「そうさせてもらいます」
裕子さんはにこりと笑ったままでだ、僕にまた答えてくれた。そしてだった。
そのうえでだ、僕にこうも言ったのだった。
「長崎も案内させてもらいます」
「長崎市の」
「ずっと住んでいましたから」
だからというのだ。
「詳しいつもりです」
「そうですよね」
「土地勘はあります」
このことも言ってくれた。
「ですから」
「そうですね、じゃあお願いします」
「ハウステンボスも何度もです」
「行かれたんですね」
「はい」
こう僕に答えてくれた。
「奇麗でとてもいい場所です」
「そうですね、あそこは」
「食べものも美味しくて」
「オランダの街を再現したんですよね」
「そうでしたね」
「オランダっていうと水車とチューリップですが」
最近は薔薇の方が有名だと聞いた、オランダというとチューリップが有名だけれどそのチューリップよりもらしい。
「それだけじゃないですね」
「そうですね、街自体が奇麗ですね」
「はい、それと」
「それと?」
「あの運河の近くでワインを飲みますと」
僕は去年親父と二人で行った時のことを思い出した、考えてみればあの時親父は夏休み僕が部活が休みの期間に入ろうとしたらいきなり連れて行った。本当にいきなりだった。
「最高なんですよね」
「運河のほとりのお店で」
「赤ワインをチーズやソーセージで飲みました」
如何にも欧州の飲み方だ、ハウステンボスらしいとも言うべきか。
「そうしたらでした」
「美味しかったですか」
「はい、よかったです。それでその後に」
ワインを飲んだ後にだ。
「お昼にレストランで食べました」
「その時もですね」
「はい、ワインを飲みました」
その時に飲んでまただった。
「もう一本」
「合わせて二本ですか」
「親父と一緒にそうしました」
「お父様とですか」
「親父がいきなり連れて行きました」
このことを裕子さんにも話した。
「本当にいきなりでしたけれど」
「それで去年にも行かれたんですね」
「親父ハウステンボス好きなんです」
多分毎年行っている、何でもホテルだけでなくハウステンボスという場所にある食事がどれも好きらしい。
「それも病み付きレベルで」
「だからですか」
「親父は毎年ですね、それで僕も」
「お父様にですか」
「連れて行かれてました」
少し苦笑いでだ、裕子さんに話した。
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